キーワードは「闘志」…なぜロッテは新型コロナショック脱出の価値ある1勝を手にすることができたのか?
3回には、ライトのマーティンが打球を処理し、送球体勢に入ってからボールを落とすという緩慢プレーでホームを奪われ、その後、追加点を奪えず、嫌な膠着状態が続いた。 だが、7回、またオリックスが犯したミスを見逃さなかった。無死一塁からベンチは、2試合連続で「9番・ショート」でスタメン起用した茶谷にバントをさせた。そのバントは投手前に転がり、オリックス2番手の山田は思い切って二塁へ投げたが悪送球になった。 無死一、二塁とチャンスが広がり、打席には「1番・レフト」で今季初スタメンに抜擢された2年目の藤原である。その前の打席でライトへ今季初ヒットをマークしていたが、井口監督は、迷わずバントのサインを出した。 大阪桐蔭高時代は中日の根尾と共にクリーンナップを任され、バント経験はなし。ファームでも、大きく育てる方針で、今岡2軍監督は、バントのサインはほとんどと言っていいほど出していない。それでも、この抜擢のチャンスをモノにしたいという執念なのだろう。藤原は、三塁側へ見事に打球を殺した。プロ初犠打。一死二、三塁とされたオリックスは、山田から比嘉にスイッチしたが、中村がセンター深くに犠牲フライを決めて待望の追加点である。 「昨日から若い選手がいっぱい(ファームから)上がってきて、その中で調子のいい人をどんどん使っていこうと思っている。その中で(藤原)恭大がしっかりと期待に応えてくれた。ファームでなかなかバントをする機会はないが、上で1試合、1試合、勝たなければいけないときには必ずバントがある。しっかりと決めてくれたのは大きかった」 井口監督は、2年目の大器の仕事を絶賛した。 守っては先発の左腕・小島が6回を6安打1失点の粘投。「勝った状態で渡せた。先発の役目を果たせたと思います」という小島からバトンを受けた、唐川、沢村、益田の勝利方程式が無失点でリードを守りきった。今季先制したゲームでは負けなしである。野手は、岡の離脱で、三家を1軍登録したため、試合のできなくなったファームで残っているのは、もう平沢と山口の2人だけ。まさに非常事態。ロッテが、勝つパターンは、ワンチャンスで奪った得点を最少失点で守りきる野球しかないのだろう。 お立ち台で井上はチームの決意を「闘志」という言葉に置き換えた。