過去に不正を働いたブリアトーレのF1復帰に、デイモン・ヒルが反発「異常なことであり、理解できない」
フラビオ・ブリアトーレがアルピーヌF1チームのエグゼクティブアドバイザーに就任し、F1界に復帰したことは、15年前にルノーをF1から撤退させたスキャンダルをいまだ鮮明に覚えているパドックのベテランたちにとっては衝撃的な出来事だった。元F1世界チャンピオンのデイモン・ヒルは、ブリアトーレの復帰に反発を示している。 【関連写真】フラビオ・ブリアトーレ(アルピーヌ エグゼクティブアドバイザー)&ルカ・デメオ(ルノー CEO) ブリアトーレは2008年のシンガポールGP序盤に一方のマシンを故意にクラッシュさせ、もう一方がレースで優勝できるよう仕組んだ事件に決定的に関与した3人のうちのひとりだった。そのことが発覚するとルノーのイメージは大きく傷つき、スポンサーはチームから撤退。ルノーはシャシー部門を投資グループに売却せざるを得なかったが、そのグループは全額を支払わなかった。 発表直後のスペインGPのFIA金曜記者会見に出席したチーム代表4人は、ブリアトーレの復帰について非難しなかった。アルピーヌ代表のブルーノ・ファミンが仕方ないにしても、フレデリック・バスールとアレッサンドロ・アルンニ・ブラービは、ブリアトーレとは関わりを持ったことがないと説明して距離を置いた。トト・ウォルフは、「誰にでも二度目のチャンスは与えられるべきだ」と擁護し、ブリアトーレの経歴からして彼がアルピーヌの財産になり得るとした。 彼らは2008年当時のF1に深く関わっておらず、当時何が起こったのか、そしてそれがどのような影響を及ぼしたのかということについての詳しい知識が欠けているのかもしれない。 デイモン・ヒルは、当時すでにグランプリレースの解説をしていた。忘れてはならないのは、ヒルは1994年のタイトルをミハエル・シューマッハーと争った後に敗れたが、シューマッハーが乗ったベネトンB194の合法性は今日に至るまで公然と疑問視されているということだ。そしてブリアトーレは当時、ベネトンのチーム代表だった。 ブリアトーレが権力の座に戻ったことについてヒルが「このことを懸念している」と認めたのも不思議ではない。憤慨するヒルは、次のように主張した。 「これは異常なことだ。私には理解できない。不可解なことだ」そしてウォルフなどチーム代表たちの姿勢に対して、ヒルは次のように付け加えた。 「とてもがっかりしている。私はチーム代表たちの会見を聞いた。彼らは実質的に、『なぜそんなに驚いているのか』と言っていたのだ」 「彼らは、『彼はフラビオだ。スポーツを熟知しているし、素晴らしいアイデアを提案してきた驚くべき経歴を持っている』と言う。それはまあいい。だが本当にそうだろうか? 彼は何をもたらすつもりなのか? それは私には不透明に見える。これは前進ということになるのか?」 「彼は若くないが、だからそこにいるべきではないと言っているのではない。彼には面白いアイデアがたくさんあるはずだ。おそらく彼は、チームが通常よりも少しだけ勇気ある決断を下せるよう、励ましたり自信を与えたりできるのだろう」 ルノーCEOルカ・デメオがブリアトーレと契約した理由について、ヒルは次のように推測している。 「自社のエンジンを捨てるという決断を下せるフラビオのような人物を、彼らは必要としているのかもしれない。そうして、ルノーのワークスチームでいるのかどうかという難しい問題全般から手を引こうとしているのだ。それが彼の得意とするところだ。無責任なことだと思う」 「私の発言は意図的なものだよ。彼が常識や規則を気にしていないことは明らかだ。だから彼はトラブルに巻き込まれたのだ。しかし、彼は他の人たちよりも少しだけ簡単に問題を見抜けていたのかもしれない」 「私はこのことをとても心配している。後味の悪い不正行為が横行する世界には戻りたくないのだ」 [オートスポーツweb 2024年08月04日]