【堂本光一 コンマ一秒の恍惚Web】トップ4は混戦模様、タイトルの行方はまだわからない!
■ゼロポッドとはなんだったのか!? メルセデスの復活とレッドブルの失速を目の当たりにして、"ゼロポッド"とはなんだったんだろう、という思いを強くしています。新しいマシンレギュレーションが導入された2022年、当時圧倒的な強さを誇っていたメルセデスは、サイドポンツーンを極端に小さくした革新的なデザインの"ゼロポッド"を採用したマシンを投入しました。 ところがメルセデスのドライバーたちは不安定な挙動に苦しみ、低迷します。結局、メルセデスは23年シーズンの半ばにゼロポッドのコンセプトを破棄、当時のレッドブルを模倣したマシンを開発します。そこから徐々に力を取り戻し、今シーズンの中盤になって、ようやく安定して速さを発揮できるようになってきました。 一方、昨シーズン22戦中21勝と異次元の強さを見せつけたレッドブルは2024年、過去のメルセデスとまったく同じデザインではありませんが、ゼロポッドに似たコンセプトのマシンを投入します。今シーズンのレッドブルのマシンは速さこそありますが、スイートスポットが非常に狭くて、神経質な挙動のクルマになっているように見えます。また昨年までの強みだった、タイヤに優しいという特長も消えています。 "ゼロポッド"のマシンは、データ上ではいい数字が出ているのかもしれませんが、実際にサーキットに持ち込むと、さまざまな問題が出ているように見えます。レッドブルも採用したゼロポッドのコンセプトはやはり失敗なのではないか......? 僕は技術に関して詳しくありませんが、そんなふうに感じています。
■角田選手のレッドブル昇格は見送りに 夏休み前の最後の1戦となったベルギーGPは、角田裕毅(つのだ・ゆうき)選手にとっては歯車が噛み合わないレースとなりました。フェルスタッペン選手と同様にエンジン交換によってグリッド降格のペナルティが科され、最後尾スタートとなった角田選手。チームメイトのダニエル・リカルド選手はいいペースで走っていたので(10位入賞)、追い上げを期待していたのですが、17位という残念な結果に終わりました。 ベルギーGPの終了後、レッドブルは不振が続くペレス選手を後半戦も起用し続けるのか、それとも別のドライバーと交代させるのかを首脳陣が話し合うことになっていました。僕は当然、角田選手がフェルスタッペン選手のパートナーとしてレッドブルに昇格することを期待していたのですが、結果的にはペレス選手が引き続きステアリングを握ることが決まりました。 スパ・フランコルシャンでの走りがレッドブル首脳陣の具体的な判断に大きく左右するような場面ではなかったかもしれませんが、やはり後方からでもしっかりと追い上げて、ポジションを取り戻すレースをしていたらなあ......と思ってしまいます。 ベルギー前のハンガリーGPでは角田選手は本当に素晴らしいレースを披露してくれました。ほかのドライバーがツーストップ作戦を採るなか、角田選手はワンストップ作戦を選択。タイヤをうまく使って、9位でフィニッシュ。今季7度目の入賞を果たします。 ハンガリーの角田選手はマシンのポテンシャルを限界まで引き出して速く走るだけじゃなくて、タイヤを守りながら戦略的に走れることを証明してみせました。多くの関係者が、角田選手はドライバーとして成長していることを改めて認識したと思います。 角田選手が今後さらに上のチームにステップアップするためには、こういうパフォーマンスをどんどん見せ続けなければなりません。トップグループ以上に大接戦の中団で存在感を示し続けることは大変なことですが、後半戦も角田選手には引き続き頑張ってほしい。