皇后雅子さま61歳に 雅子さま華麗なるレースの装い 英国のドレスは洋花のレース アジアでは幾何学模様のスタイリッシュなレース
12月9日に61歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま。今年6月の訪英の際に臨んだ晩餐会では、雅子さまの輝くティアラと白のレースの装いに注目が集まった。雅子さまの装いは、控えめでありながらも繊細な装飾な仕立てが施されている。そのひとつが、希少なリバーレースを用いたドレスや装いだ。華麗でありながら、接遇の相手によって異なる柄行のレースをお召しの雅子さま。レースに込められた思いとは。 【写真】華麗なるレースの装い!光に透ける薔薇やビーズが豪華な雅子さまのドレス * * * 6月25日、天皇陛下と皇后雅子さまは、英国ロンドン中心部にあるホースガーズでの歓迎式典に臨み、その後はバッキンガム宮殿へと続く大通り「ザ・マル」を、天皇陛下とチャールズ国王、雅子さまとカミラ王妃がそれぞれ乗った馬車が騎馬隊に守られながら進んだ。 カミラ王妃の隣の雅子さまは、白いコートドレスと帽子、マスクのすべてのアイテムにリバーレースを豪華に用いた装いだった。 ■雅子さまご愛用の200年前と変わらないレース 雅子さまが愛用するリバ―レースとは、どのようなものなのか。 1958年に創業し、国内で唯一リバーレースを製造してきた兵庫県宝塚市の「栄レース」の澤村徹弥社長によると、装飾を目的とするレースが生まれたのは16世紀ごろ。17世紀のフランスでは華やかなバロックスタイルのレースが王侯貴族に着用された。 その後の産業革命やフランス革命でレース産業は一時衰退したものの、19世紀初めに機械で織る「リバーレース機」が英国で発明された。
澤村さんによると、レースは組紐のように織るリバーレース、 やや簡易な編み方のラッセルレース、生地に刺繍を施すエンブロイダリーレース、服の襟や袖飾りなどに使われるトーションレースの四つに分類される。 「リバーレースは、2万本もの細い糸で複雑なレース模様を織りあげる高価なものです。機械は200年前からほぼ変わらず、うちでも70年前の機械を自分達で整備しながらレースを織りあげるなど、熟練工の技術が不可欠。手間と複雑な工程が織りなす最高級のレースが、王侯貴族に愛されたゆえんです」 ラッセルレースは、量産できるよう考案された機械を使う。ただし、最近は技術も向上し、見た目もリバーレースに近づいているという。 ■雅子さまのキラキラ光るドレスの秘密 雅子さまが歓迎式典とパレードでお召しのコートドレスは、まさにリバーレースだった。 「花や蔦が一面に編み込まれた古典柄のレースで仕立てられています。スカートの裾やマスク、帽子には同じ柄のレース生地が縫い付けられています。花弁の影まで表現できる精巧さもリバーレースならでは、です」(澤村さん) さらに夜の晩餐会でも、花柄のリバーレースで仕立てたイブニングドレスをお召しだった。ダイヤの首飾りとイヤリング、そして頭上には「皇后のティアラ」が輝いていた。 雅子さまのドレスがキラキラと輝いているのは、「フィルム糸」と呼ばれるポリエステルのシートを極細にカットした特殊な糸を一緒に織り上げているためだ。 「皇后さまのレースは、おそらく海外製だと思いますが、織り方は産地にかかわらず同じです。どの糸をどの部分で使うかを書き込んだ設計図面に、フィルム糸の指示も書き込むわけです」