47年7カ月もの獄中生活を送った袴田巖を追う ドキュメンタリー映画『拳と祈り』10月公開
ドキュメンタリー映画『拳と祈り ―袴田巖の生涯―』が、10月19日よりユーロスペースほかにて全国公開されることが決定した。 【写真】映画『拳と祈り』場面カット(複数あり) 本作は、1966年6月に静岡県で味噌会社専務一家4人が殺害され、放火された事件の犯人とされ、47年7カ月もの獄中生活を送ってきた袴田巖を追ったドキュメンタリー映画。 明日突然、死刑が執行されるかもしれない。48年もの間獄中生活を送った30歳の元プロボクサーは78歳になっていた。ワゴン車で東京拘置所を後にした時、監督の笠井千晶がまわすカメラが捉えたのは、まるで夢から覚めたような袴田の表情だった。その夜、半世紀近く引き裂かれていた姉と弟が枕を並べた。さらに続くことになる司法との闘いを覚悟しながら、カメラは2人の生活を記録し、対話を重ね、袴田の心の内面深くに迫っていく。袴田の無実の訴えは裁判所、そして世間からも黙殺された。そんな過酷な状況下でも、リングに上がり拳ひとつで闘った遠い記憶は、生き抜くための支えとなっていた。やがて袴田は獄中で、自らを「神」と名乗り始める。釈放され、生きて歩く死刑囚……。その存在は権力によって覆い隠されてきた「死刑」という刑罰の残酷さを、白日のもとに晒す。22年間にわたって袴田を追い続けてきた笠井監督は現在もカメラを回し続けている。そして、来るべき再審判決(2024年9月26日)の結末を見届ける。 あわせてキービジュアルと場面写真が公開。キービジュアルでは、死刑囚という境遇を乗り越え、生きて還ってきた袴田の後ろ姿が切り取られている。場面写真では、獄中からの手紙や実家の庭先にてボクシンググローブをはめポーズをとる袴田の姿などが捉えられている。
リアルサウンド編集部