“認知症になりやすくなる”生活習慣は? 予防法について専門家が解説
高齢化が進み、認知症になる方の割合も増えてきました。認知症になると生活の中でさまざまな困難が生じてしまうので、若いうちにできる限りの予防策を講じておくことが重要です。そして、認知症の発症には生活習慣も大きく関わっていることをご存知ですか? 今回は認知症のリスクとなる生活習慣や予防法などについて、介護福祉士の尾崎さんに聞きました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
認知症とは? 症状・好発年齢・原因について
編集部: 認知症とはどのような病気ですか? 尾﨑さん: 認知症とは、脳梗塞などの脳の病気や、記憶力などの認知機能の低下などによって日常生活にさまざまな困難が出ている状態のことをいいます。認知症は病気というイメージを持っている方がほとんどだと思いますが、認知症は病気ではなく症状のことを指します。発症してしまうと完治させることは難しく、進行を緩やかにすることがメインとなります。 編集部: 認知症の具体的な症状を教えてください。 尾﨑さん: 認知症の基となる「中核症状」には、記憶障害、時間や曜日が分からなくなる見当識障害、計画を立てて物事を進めることができなくなる実行機能障害、理解・判断力の障害、失語、失認、服の着方や箸の使い方が分からなくなる失行などの症状があります。中核症状に加えて、「BPSD(行動・心理症状)」として心理面・行動面の症状が出ます。BPSDには抑うつやもの盗られ妄想、暴力や介護拒否などの症状や行動が見られます。BPSDはその人の性格や精神面の影響が関係するため、一人ひとり現れる症状が違うことが特徴です。 編集部: 認知症を発症しやすい年齢・年代を教えてください。 尾﨑さん: 男女全体での有病率は、60代後半で約3%弱、70代後半で13.6%、80代前半で21.8%、80代後半で41.4%と、年齢が高くなるにつれどんどんリスクが上昇していくことが分かっています。また、一見70代以降から認知症を発症するように見えますが、65歳未満でも若年性認知症を発症する可能性があります。 編集部: 認知症を発症する原因はなんでしょうか? 尾﨑さん: 主な原因としては、肥満などの生活習慣病、難聴、ストレス、遺伝などが関係していると言われています。例えば、乱れた食生活により生活習慣病になると、血流が悪くなって脳梗塞などを発症し、血管性認知症になるリスクがあります。また、難聴になると周囲の人との会話が減り、認知機能が衰えてしまう可能性があると考えられています。ほかには、ストレスにより血流が悪化すると脳が委縮する原因にもなりかねません。遺伝についても関連性が指摘されており、認知症を発症した家族がいる場合はご自身も発症する可能性がありますが、生活習慣の乱れなどと比べて認知症発症率は低いとされています。