【日本市況】株急上昇3万7000円台、米大幅利下げ継続観測後退で円安
トヨタ株が1カ月半ぶり上昇率、野村証「買い」評価-来期に成長回帰
岡三証券の大下莉奈シニアストラテジストは「米国で市場の期待通り大幅な利下げが発表されたが、円高は進行していない」という理想の結果だと述べた。続く日銀の金融政策決定会合では据え置きが想定されて植田総裁の発言に注目が集まる形だとした上で、「8月のマーケットが大荒れだったこともありタカ派に傾倒した発言も限られそうだ」と予想した。
為替
東京外国為替市場で円相場は1ドル=142円台半ばで推移。FOMCは大幅利下げに踏み切った一方、今後の利下げは急がない姿勢を示した。米長期金利が時間外取引で上昇していることが材料視されたことに加え、国内輸入企業の実需の円売りも出た。一時143円95銭まで下落する場面があった。
りそなホールディングス市場企画部の井口慶一シニアストラテジストは、先行き利下げを急がないとの見方から米長期金利が上昇しており、国内輸入企業の円売りもあって円相場の下落幅が拡大したと話した。
海外市場でFRBの大幅利下げを受けて円相場は一時140円台半ばまで上昇したが、パウエル議長の会見により利下げは急がないとの見方が広がり、円が売り戻された。
あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、FOMC会合参加者の金利見通しやパウエル議長の会見で「利下げを急いでいないことが示された」と指摘。米経済がソフトランディング(軟着陸)して市場の過度な利下げ期待が修正されれば、ドルの戻りがあるかもしれず、年内は140円がドルのサポートになるとみる。
FOMC会合後に公表された経済予測では、19人の当局者のうち10人が年内残り2回の会合で少なくとも0.5ポイントの追加利下げを支持していることが示された。
パウエル議長は記者会見で「今回の決定を受けて『これが新しいペースだ』とは誰も捉えるべきではない」と述べた。
債券
債券相場は下落。利回り曲線は超長期債主導でスティープ(傾斜)化した。パウエルFRB議長が大幅利下げ決定後に先行きの利下げを急がない姿勢を示し、米金利が上昇した流れを引き継いだ。外国為替市場で円が対ドルで一時1%超下落し、円安による期待インフレ上昇観測も相場の重しとなった。