訪日客殺到で「圧倒的にベッドが足りない」 国内有数のスノーリゾート、ホテル不足深刻 夏の時点で予約満杯続出…観光業者危機感
長野県の白馬村、申し込み殺到で冬の予約空き室内施設続々
日本有数のスノーリゾート地、長野県白馬村で、今冬季(今年12月~来年2月末ごろ)の宿泊予約が好調だ。村内のホテルによると、宿泊予約申し込みの動きは例年より1カ月ほど早く、インバウンド(訪日客)を中心に申し込みが殺到し、冬季の空き室がなくなる宿泊施設が続出している。ホテル関係者からは「ベッドが圧倒的に足りない」という声が漏れている。 【写真】白馬村に建設中の新ゴンドラリフト。三菱地所を中心に新たなホテル建設計画が進む
人気エリアは夏の時点で予約埋まる
旅行会社のスキージャパンホリデーズ(白馬村)は、オーストラリア人を中心に宿泊予約を受けているが、八方尾根などの人気エリアのホテルでは8月末時点で来年1、2月分がほぼ埋まったという。早い時期に予約する訪日客は年々増えており、担当者は「早く予約に動かないといけないという心理が働いている」と指摘する。
増える直接予約
八方尾根スキー場に近い白馬東急ホテル(同)では、昨年より1カ月早い7月末時点で、全101室の今冬季の予約がほぼ埋まった。旅行会社を経由していた訪日客が、予約サイトを使って直接予約するケースが急増しているという。萩原博営業支配人は「旅行会社を挟まない分、予約がどんどん進む」と話す。
国内旅行客は宿を取りづらく
訪日客の動きが早い半面、国内旅行客は宿を取りづらくなっている。白馬樅(もみ)の木ホテル(同)でも、8月末時点で今冬季の部屋は予約でほぼ埋まった。担当者は「まず訪日客が長期で部屋を押さえる。その後、空室のある日に国内旅行客が埋めていく」と説明する。
開発の波
顧客の収容能力不足が年々深刻度を増していることから、白馬村ではホテル建設が次々と進む。
海外資本の高級ホテル進出
昨年11月、八方尾根近くでシンガポール資本の高級ホテルブランド「バンヤンツリー」のホテル建設計画が明らかに。今年9月末には、日本スキー場開発(同)グループが土地を売却し、国際的なホテルを誘致する方針を発表した。夏季も含め集客力が高まる岩岳エリアにも、開発の波が来た格好だ。
「あらゆる手を使わないと…」
同グループの岩岳リゾート(同)の星野裕二社長は「ベッド数が圧倒的に足りない。今後も訪日客が増えることを見越し、あらゆる手を使って収容能力を高める必要がある」と危機感をにじませる。
周辺の自治体からの誘導を計画
対策の一手として、村内のスキー場経営各社でつくる白馬村索道事業者協議会は12月20日から来年2月24日、大町市の大町温泉郷と村内のスキー場をつなぐシャトルバスを初めて運行する。国内客の受け皿として大町温泉郷の宿泊施設を活用する狙いで、大型バスを朝夕各1本ずつ走らせる計画だ。