青木崇高「“カッコいい大人”って何? 僕は目指していないですね」
── 島田は、年下の江南にとって、それこそ“カッコいい”ところ、“命を燃やしている”と見えるところはあるのでしょうか。 青木 島田は、実は懐深い人だなと思います。表面的には変なおじさんですけど、彼は彼の哲学があって、江南にも優しく寄り添う気持ちを持っている。 島田は、実家がお寺なので、彼なりの死生観もあるだろうなと。人はいずれ生まれて死ぬ、それが人生だと。だから江南にも、くよくよし続けずに、生きている限り、好きなようにやれよ、というようなことをほのめかす。実際に江南にかける言葉は「君はロマンチストだねえ」といったように、皮肉めいているんですが、それが彼なりの励ましや慰めだったりする。そういう島田の魅力を裏テーマとして演じました。直接的じゃなくて、周りくどい言い方をするけれど、優しい人というかね。 ── 変なおじさんだけど、人生の大事なことを考えさせられるような人だと。 青木 そうですね。まあ、でも、この作品は、島田を含め、登場人物の描写はもちろん素晴らしいのですが、やはり原作の「映像化不可能」と言われる部分、最大の山場に向かっていくまでの、視聴者との情報の駆け引きみたいなものが、本当に見事です。原作が未読の方は腰を抜かすような衝撃を受けると思うし、原作を読んだ方にも十分楽しんでいただけるはずです。
◼️ Huluオリジナル「十角館の殺人」 全5話一挙独占配信中
十角形の奇妙な外観を持つ“十角館”が存在する角島(つのじま)。1986年、“十角館”を建てた天才建築家・中村青司(演:仲村トオル)は、焼け落ちた本館・青屋敷で謎の死を遂げていた。半年後、無人島と化していた角島に、K大学ミステリ研究会の男女7人が合宿で訪れる。その頃、海を隔てた本土では、かつてミス研メンバーだった江南孝明(演:奥 智哉)のもとに、死んだはずの中村青司から1通の手紙が届く。<十角館のミス研メンバー>と<死者からの手紙> ── 偶然とは思えないと江南が調査を進めるなか、島田 潔(演:青木崇高)という男と出会い、行動をともにしていく。一方、十角館ではミス研の1人が何者かに殺害される。ミステリー界の巨匠・綾辻行人の最高傑作との呼び声高い『十角館の殺人』(講談社文庫)。2023年、タイム誌が選ぶ【史上最高のミステリー&スリラー本】オールタイムベスト100にも選出される快挙を成し遂げた名著でもあります。長年、映像化不可能と言われ続けてきたこの作品を、今回、実写映像化! 原作:綾辻行人 監督:内片 輝 脚本:八津弘幸、早野 円、藤井香織 ©綾辻行人/講談社 ©NTV
■ 青木崇高 (あおき・むねたか)
1980年大阪府生まれ。主な出演作にNHK連続テレビ小説『ちりとてちん』、NHK大河ドラマ『龍馬伝』『平清盛』『西郷どん』『鎌倉殿の13人』、映画『るろうに剣心』シリーズ、アカデミー賞を受賞した『ゴジラ-1.0』、大ヒット韓国映画シリーズ最新作『犯罪都市 NO WAY OUT』など。バラエティ番組「ララLIFE」ではメインMCを務めるなど幅広く活躍。5月17日には『ミッシング』の公開が控えている。
写真/和田直美 ヘアメイク/NANA 編集・文/アキヤマケイコ