進学、就職……発達障害がある我が子の将来が不安。発達支援はどう変わるべき?
小学校教諭としての勤務経験を持つ、発達支援コンサルタントの小嶋悠紀さんと、『with class mama』メンバーでもあり、モンテッソーリ教育×感覚統合の視点を取り入れた研修や講座を行うりっきーさんとのスペシャル対談。最終回では、多くの親が子どもの将来に不安を抱える中、これからの日本の発達支援に必要なこと、小学校から先の進学や就職までの包括的支援のあり方について伺いました。 「我が子に“発達障害”の診断が下りて、ほっとした」発達障害の子をもつ親が明かした“本音”
広がりつつある、教育現場での支援
――小嶋さんとりっきーさんはそれぞれの立場で子どもの発達支援に携わられていますが、そのアプローチの違いから質問などはありますか? りっきー:長男は視覚情報に強いので、何かを伝えるときにもそれがあると助かるんです。でも、実際に学校で視覚支援を求めるのにも限界があるのかな、とも思っていて。学校現場にいらっしゃった小嶋先生からすると、現実的にはどこまで配慮可能だと思われますか? 小嶋悠紀(以下、小嶋):学校というのは一人の先生が30人ほどの生徒を効率よく指導することに特化した場所です。よって、音声で指示する方が効率的なのは間違いない。そういった伝統がある中で、視覚支援という概念の大切さを先生たちがどれくらい理解しているのか、に左右されてしまうでしょう。ただ、さまざまな学校を見学してきた個人的な体感としては、最近は、視覚支援の重要性も意識されつつあると思います。特に小さなお子さんたちに対しては、スケジュール表も作りますし、注目してほしいところには目立つシールを貼ったりもしているんです。 りっきー:そうなんですね! 教育現場全体がそういう流れにあるのだとしたら、保護者としてすごく安心できます。ただ、それでも保育園から小学校に上がるときの支援や配慮の差が激しかったですし、これから中学校に上がる際に、さらに落差があったらどうしよう……とも思っていて。 小嶋:そうですね。正直な話、差はあると思います。もっと言うと、中学から高校の差が激しい。これこそが日本の特別支援教育の弱点です。東京や神奈川だと、特別支援学級自体が潰れていますから。これはインクルーシブ教育の一貫でもあるんですが、過剰にそちらに傾いてしまうと、適切な「環境設定」が出来ないのではないか、と懸念を抱いています。だからこそ、いま話題に上がった視覚支援の重要性みたいなものをもっと伝えていかなければいけない。そういった支援は保育園、小学校だけではなく、中学、高校でも必要なんだ、と。