なぜ日本サッカー協会は地域の街クラブなどグラスルーツの経済支援を最優先で決めたのか?
新型コロナウイルス感染を公表し、都内で入院生活を送った3月中旬から4月上旬にかけて、田嶋会長はサッカー界として未曾有の事態を乗り越える施策に思いを巡らせてきた。入院中に行われたJFA理事会にオンラインで参加した際には、今年度の特別な施策として登録料の免除を提案している。 登録料とはJリーグからJFL、社会人、大学生、高校生、中学生、小学生、女子、40歳以上シニアなど、すべての登録チームがJFAに対して年度ごとに支払うもの。例えば小学生年代の第4種はチームとして2500円、監督が2000円、子ども一人につき700円の合計額が登録料となる。 この登録料の免除も、もちろん「JFAサッカーファミリー支援事業(仮称)」のなかに設けられている。そして、理事会承認を待たずにスタートさせた財政支援に関して、街クラブやスクールなどへの融資を、田嶋会長は「金額はいろいろとありますけど、(融資対象としては)200から300(のクラブ、スクール)を想定している」と明かした。 新型コロナウイルス対策費として、今年度予算に計上されている7億円ではまったく足りないことは田嶋会長も認めている。寄付金を広く募る口座を創設することに加えてクラウドファンディングや、あるいはJFA内で留保している資金も財源になると同会長は以前語っていた。 「日本サッカー協会の先輩方がこれまでに貯めてこられたお金があります。いろいろな危機を乗り越えるために考えられたものもあれば、(天皇杯の)100周年事業へ向けて蓄えたものなど、いろいろなものがあるなかで、まさにこういうときに使わないでどうするのか、と私たちは思っています」 街クラブやスクールを対象とした、財政支援を受けるための申請期間は6月末まで。第2次と位置づけられた7月以降に関しても継続性や必要性を6月の理事会で、Jリーグやなでしこリーグ、Fリーグ、47都道府県協会や全国9地域協会への支援も含めて検討していく予定だ。 (文責・藤江直人/スポーツライター)