【ウインターカップ2024】福岡大学附属大濠の片峯聡太ヘッドコーチ「12月29日まで成長できる、最後まで成長したい」
伝統ある福岡大学附属大濠は常に全国大会の優勝候補に挙げられるが、片峯聡太ヘッドコーチはいつも以上の自信を持って今回のウインターカップに臨む。昨年の準優勝から新チームがスタートし、様々な経験を経て実力を高めるとともに、チームの結束も強くなった。片峯コーチが「1年間しっかり築き上げてきた自慢のチーム」と評する大濠は、各ポジションに充実した戦力を揃え、必要なステップを飛ばすことなく踏んで、1年の総決算となる大会に挑む。
このシーズンだからこそ残せる何かが『GIVE』
──ウインターカップの準優勝で昨年が終わり、新チームになってどんなスタートを切りましたか。 ウインターカップ準優勝と言われると素晴らしい結果のようですが、チャンピオンの背中をベンチから見る光景でシーズンが終わるのは悔しいもので、私の教官室の壁にはその写真が貼ってあります。だから今年は悔しさからスタートして、その悔しさをルーズボール一つ、リバウンド一つに込めて「自分たちはまだまだなんだ」という姿勢で日々に向き合ってきました。 今年のインターハイは地元開催で、その悔しさをエネルギーにするつもりでしたが、準決勝で美濃加茂に敗れました。そこにも悔しさはあったのですが、地元のインターハイであれだけ多くの方に応援していただいて、選手も肌で感じるものがありました。私も含めて、このチームが去年のウインターカップと今年のインターハイで学んだのは『悔しさと感謝』なんです。その2つの気持ちを踏まえてウインターカップに臨みます。 ──U18日清食品トップリーグでは6勝1敗で優勝しました。 今年初めて優勝できたことで、選手たちに少し足りなかった『自信』を得られた大会になりました。ウインターカップに向けて、これが『慢心』にならないように。最終調整までしっかりやりたいと思います。 ──今年の立ち上げの時に掲げたテーマは『GIVE』でした。 『GIVE』は自分たちが行動を起こして、他者に何か素敵なものを与えられるチームに、個人になろうというところから始まりました。Gは最初から最後までやり抜く姿を大事にする『Grid』で、Iは自分たちが良い影響を周りに与えていこうという『Influence』。そうは言っても勝たないと認められない勝負の世界なのでVは『Victory』です。Eは我々はチームでやっていく中で、うれしい気持ちや幸せな気持ちを共有するように、多幸感という意味の『Euphoria』です。そういったものを見ている人たちに与えられたらという意味の『GIVE』というスローガンです。 去年のウインターカップでは今の3年生が3人、2年生の榎木璃旺を含めて4人がスタートでコートに立っていた経験値のあるチームなので、ただ勝てば良いのではなく、このシーズンだからこそ残せる何かを考えた時に、この『GIVE』というスローガンが良いのではないかと、悔しさでいっぱいの年末年始に考えました。 ──そこからチームは順調にステップアップしているように見えます。今の進捗具合は10点満点で表すと何点ぐらいですか。 8点……いや7点かな。本当に良い時には、自分たちのスローガンに向けてやれている、見ている人たちから頭文字の4つを感じ取ってもらえるな、と思うのですが、やっぱりまだまだ高校生なのでムラがあって、良い時もあれば悪い時もあるんです。ただ、その悪い時の質が変わってきて、インターハイの前ぐらいはジェットコースターみたいに良い時と悪い時の差が大きくて、「別のチームになっちゃったのかな」みたいな感じで練習を止めて注意することもあったのですが、それ以降は低い時でも落ちる度合いが少ない、平均値が高くなっていると感じます。 ──チームのレベルを問わず、どのコーチもその状態を望むものだと思います。そうなれた要因はどこにあると思いますか。 それぞれが精神的に大人になってきたと感じます。2年生の時はプレーは良くても精神的にはまだまだだったのが、特に試合に出ている上級生が変わってきました。チームに一体感があるのですが、それが楽しく騒ぐような一体感ではなく、「ダメなものはダメ」、「言うべきことは言おう」とスタッフと選手、選手同士でも言い合うようになっています。そうやってできたのが「厳しい中でも勝つことを目的にして、一生懸命に頑張っている姿勢を認め合う」というチーム状態で、ここに持っていけたことで平均値が上がったのだと思います。 仲良し集団ではなく言うべき意見はしっかり言う。お互いに助け合いながら、みんなで伸ばしていく。そういう練習の中での成長が今は見られると思っています。別に一体感を求めているわけではないのに、結果として一体感のあるチームになっている。同じチームの仲間なので認め合うのは大事ですが、「指摘し合う」がまずあった上で「認め合う」に、少しずつなっていきました。