東京が南アジアより暑く、世界中で死者も…気づかぬうちに命を奪う「サイレント・キラー」の正体
日本の公立学校は熱中症対策のため、令和2年には普通教室で93%、特別教室や体育館などを足して78.4%が空調設備設置をしている。気象庁が発表したグラフをみると、2010年からの10年で4倍近い増加となっていることがわかる。 【グラフ】日本の公立小学校の空調(冷房)、2010年から10年での増え方がスゴイ それだけ気温が上がっているという証拠だろう。 事実、気象庁の発表によれば、2024年の夏(6月~8月)は平均気温が平年と比べ1.76度高く、特に7月は日本の平均気温は統計を開始した1898年以降、2023年の高温の記録を更新した暑さになった。8月も西日本を中心に顕著な高温が続き、夏を通して積算した全国の猛暑日地点数は記録的高温となった2023年を大幅に上回った。それは暮らしている我々が一番体感していることだろう。 また、7月下旬には、山形県・秋田県などで記録的な大雨となるなど、北日本日本海側中心に降水量がかなり多くなり、雨が大雨となり、台風が嵐となる「狂暴化」もみられた。これらは様々な要因があるが、「地球温暖化」も大きな要因だと報告されている。 日本だけではなく、世界での暑さを体感したというのが、南アジアで働く大倉瑶子さんだ。大倉さんが感じた危機とは。
あまりの暑さで、全国の学校が一週間の閉鎖
バングラデシュ、パキスタン、日本――。この数カ月、どの国へ行っても、本当に暑かった。どこへ行っても、猛暑が連日のニュースだった。気候変動ではなく、気候危機だと言われて久しいが、いよいよ深刻な状況だと感じた人は多かったはず。実際、世界の平均気温が観測史上最高を更新し続けた夏だった。 「ダッカは暑いです、とにかく暑いです!!」 着陸前のアナウンスで機長も思わず、そう言ってしまう猛暑だった。 4月末のバングラデシュの首都ダッカの気温は、40℃に到達していた。期せずして、1ヵ月近く続く歴史的な熱波の最中に、降り立ったのだった。あまりの暑さで、全国の学校が一週間の閉鎖となり、3300万人の生徒が影響を受けた。5月にパキスタンに戻ると、ここでも酷暑が襲ってきた。仕事をしているシンド州では、52.2℃を記録。パキスタンでも、学校の閉鎖をせざるを得ず、国の半数の生徒にも値する2600万人が、影響を受けた。 パキスタンやバングラデシュでは、エアコンはもちろん、天井ファンや扇風機がない学校が多い。設備がある場合も、停電で機能していないケースは、特に農村部では珍しくない。酷暑の中での、換気や耐熱が不十分な教室は、健康を危険にさらす環境なのだ。学校にたどり着くまでに長時間、外を歩かなければならない生徒もいる。地域全体が水不足に陥っている中、十分な水分補給ができないことも多い。