京都府内の中学生の医療費、自己負担ゼロの市町村もあれば京都市は1500円…格差縮小に向けた府の議論の行方は
京都府亀岡市の中学生は自己負担ゼロで病院にかかれるが、京都市の中学生は1500円の負担が必要――。府は11月、子ども医療費助成の拡充に向け、福祉医療制度のあり方を検討する会議を設置した。自治体で異なる自己負担額の格差縮小につながるか、議論が注目される。(岩崎祐也)
府は、通院にかかる1医療機関あたりの自己負担額を、自治体と折半して小学校卒業までは月額200円となるよう助成している。中学卒業までは1500円だ。
各自治体は、この制度に加えて独自の上乗せをして助成しており、これが自治体間の差となっている。府のまとめによると、8市町村は高校卒業まで無料。京丹後市は200円だが、対象を大学卒業までに広げている。高校卒業まで200円は8市町、中学卒業まで200円は8市ある。京都市は唯一、自治体として助成を行っていない。
上乗せに対する考えは、各首長や財政状況などによって様々だ。高校卒業まで無料とする亀岡市は「『子どもファースト』として先進的な支援を行うことで、選んでもらえる街にしたい」とする。一方、京都市は独自助成は考えていないとし、西脇知事に<土台部分>を拡充するよう求めている。
府は、自治体によって負担額が異なる状況に「自治体のことは言う立場にない」としている。一方、府全体として子育て環境を整備する重要性は認識しており、これまで8回にわたって通院医療費の対象年齢拡充や助成の引き上げを行ってきた。格差は少しずつ縮まっており、今回もさらなる底上げを検討することで、制度のばらつき是正や自治体負担の軽減などを目指すとしている。
設置した会議では、およそ1年をかけて、拡充の規模や時期を議論する。
第1回は11月19日に京都市内のホテルで開催した。学識者や医療、自治体関係者などから意見を聞いたところ、「制度による子どもの取り合いにならないように(府は助成拡充を)」(自治体関係者)、「拡充した後の受診行動を分析すべきだ」(学識者)など、様々な声が上がった。
今後論点を整理し、子ども医療費のほか、高齢者や障害者、ひとり親家庭に対する医療制度にも議論を広げる予定だ。