米FOMC、利下げペース鈍化示唆へ トランプ政策見据え予測修正
Ann Saphir [ワシントン 17日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は17─18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利下げを決定する見通しだ。合わせて経済成長率やインフレ予想を引き上げ、利下げペースの鈍化を示唆する可能性がある。 11月にトランプ氏の大統領返り咲きが決まって以降、パウエル議長らFOMCメンバーは、まだ具体的な内容が固まっていない次期政権の政策を予測に盛り込むのは時期尚早との認識を示してきた。しかしパウエル氏がFRB理事だった8年前、FRBは第1次トランプ政権の減税などの政策方針の予想される影響を経済成長や政策金利の予測に反映させていた。 モルガン・スタンレーのエコノミストチームは「パウエル議長らは、金融政策は財政、貿易、移民政策の実際の変更に基づき決定し、予断は持たないと言っており、われわれは額面通り受け止めている」と述べる一方で、今回の予測で今年の成長率を引き上げ、今年と来年のディスインフレの鈍化、「適切な政策パスにおける利下げ回数の減少」が示される可能性が高いとみている。 9月の予測では来年の成長率は2%だった。その後、フィラデルフィア地区連銀の専門家予測調査では来年の成長率予測は1.9%から2.2%に上がっている。 前回11月のFOMC以降、複数のFOMCメンバーがより慎重な利下げペースに前向きであることを示唆。背景には利下げを開始した9月と比べ、労働市場の脆弱性が低下し、インフレがより粘着的になっていることがある。 前回の予測以降、米経済データはおおむね強い内容になっている。次期政権の政策の影響が不確実なことを脇に置いても、FOMCメンバーが来年のより緩やかな利下げを適切と考える理由は十分ある。 10月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年比2.3%上昇で、FRBの第4・四半期予測と一致した。 ただ一部アナリストは、FRBが基調的インフレ圧力を判断する指標とみているコアPCEインフレ率は、これまでのデータを踏まえると年末は約2.8%となり、25年も同程度を維持すると予想。9月のFRB予測では、第4・四半期のコアPCEインフレ率は2.6%、25年第4・四半期は2.2%で、最近の傾向を考えると楽観的に見える。 一方、失業率は10月が4.1%、11月は4.2%で、FRB予測を下回っている。12月に大幅に悪化しなければ、9月予測での第4・四半期平均4.4%に上昇する可能性は低い。アナリストらは、今回の予測で0.2ポイントの下方修正を予想している。 政策金利予測については、アナリストの予想中央値で来年が0.25%利下げが3回。2回との予測も一部にある。26年は利下げ数回で政策金利が3.4%か3.1%との予測が示されるとみられている。9月予測では2.9%だった。2.9%は、FOMCメンバーが政策金利の「長期的」または停止点と示唆してきた水準だ。 ダラス地区連銀のローガン総裁は、政策金利が最終到達点に近づくにつれて、港に入る船の船長のように速度を落とすべきだと指摘している。一部アナリストは「長期的」見積もりが3%かそれ以上に切り上がり、一段と緩やかなアプローチの根拠を強化するとみている。