【独占直撃】「端末5台」駆使で為替介入?神田前財務官が明かす歴史的円安の“裏側”
“歴史的円安”対応の陣頭指揮を執ってきた、財務省の神田財務官が7月末で退任しました。退任に先立ち日本テレビは、神田氏に単独でインタビュー。「常在戦場」「出張には端末5台」「介入は効いている」。明かされた円安対応への“本音”と介入の“裏側”とは…。単独インタビューの「全文」を公開。 【動画】「歴史的円安」に対応指揮 神田前財務官 為替介入への“本音”
■出張には衛星携帯も…「端末5台」駆使 “為替介入”の裏側と本音
◇為替の話。今まで円安が進んでいく中で、市場には政府・日銀は為替介入を「できないんじゃないか」「しないだろう」という考えもあったかと思う。ただ、実際は為替介入に踏み切った。どんな“思い”からだったか? ーーー思いというか、なんて言いますか、私の基本的な考えは、我々、変動為替相場制をとっているわけですから、為替相場はファンダメンタルズを反映して、安定的に推移していることが重要で、その限りでは市場に任せるべきだと思っています。 ただ、投機の動きなどで、本当に行き過ぎた動き、過度な変動があった場合は、これ、何も悪いことをしていない家計や企業にすごい悪影響を与えます。それは対応できませんよね。急にバーンと、エネルギー価格とか、食べ物の値段が上がったら、それは容認できない。 例えば2022年9月は、このような過度な変動が見られる中、もう、1998年以来の24年ぶりの円買い介入に踏み切らざるを得なかったわけです。その後も為替市場で、そういった過度な変動が見られたときには、適切な対応をとってきたと思っています。 先ほど申し上げたとおり、為替は私の全体の仕事の1割未満なんですけれども、厄介なのは為替市場って24時間、世界中で取引可能なんですね。なので、いつ何どきでも相場が急変する可能性がある。為替ってのは森羅万象を反映しますので、いろんな地政学的なイベントから、経済指標から、要人の発言まで、もう何があるかわからない。 私自身は、月の半分以上を様々な国際交渉で海外に行っているもんですから、非常にやりにくいところはあるんですが、それでも、いついかなる状況でも、そういった過度の変動があったら、直ちに適切な対応をとれるような態勢を、自分自身で整えて、いわゆる「常在戦場」ですかね、それをやってきたつもりであります。それはこれからも続けていこうと思っています。 大きいのはやはり、20年以上、毎日「チャート」、いろんなチャートを見たり、経済指標を追いかけてきて、それからもう一つは、これは30年弱になりますか、各国の要人、それはマーケット、ヘッジファンドとかから、当局の人とかとの人間関係が続いてきた。この両者で、なんとはなしに“やっぱり今の動きはおかしいじゃないか”っていう、相場観がつかめていたっていうのはあるかもしれません。 ◇「常在戦場」というが、普段の出勤はいつだった? ーーー通常(の財務省の出勤時間)は9時30分ですね。私はだいたい7時台に来るようにしてきて、それは2000年代の初めぐらいに、為替市場課をやっていたのもありますけども、一つ、秘書課の企画官っていう人事(の役職)をやっていたときに、やっぱり昼になって、みんなが出勤してくると仕事しにくいので、朝早く来る習慣があって、当時から、だいたい8時前には登庁してるようになって、数十年続けてるっていう感じですね。 今は、かなりそれが有効なのは朝、人が少ないから仕事しやすいっていうのと、それから政治家の方とか財界の方って、朝の8時からの会議が多くて、それに出やすいっていうのもあるし、さらに言うと(日米欧)「3極」でやる、いわゆる電話会議ですね、ビデオ会議とかっていうのは、どうしても、日本は夜の9時からか10時からになって、それがほぼ毎晩あったりするんですけれども、アメリカとやるときっていうのは、午前中が多いんですね。ちょうど日本の朝で向こうの夜みたいな。なので、朝早く来て、アメリカ大陸と電話で相談するっていうのは結構あるので、非常に有意義な時間の使い方だったとは思っています。 ◇携帯はいつも手放せなかった? ーーそれはそうですね。 ◇携帯を何台も持っている…みたいな話もあるが? ーーーちょっとそれは…。携帯っていうわけじゃなくて、皆さんと一緒で、iPadも持ってるし、それからうちのパソコンは、ポータブルなので、出張してるときはいつも持って行っていますし、だいたい出張のときは、いろんな端末、5台ぐらいは持っていますね。 ◇「携帯3台持っている」という話もあるが、実は違う? ーーーまあまあ、3台ぐらいは持ってますけれども、それはいろんなのがあって、詳しいことは言えませんけど、それだけじゃなくて。別に携帯じゃなくても、例えば、これは別に他の幹部も持っていますけど、衛星電話ですし、非常事態(が起きたときのため)ですね。 ◇いついかなるときでも対応できる? ーーーそれは大丈夫です。どこにいてもできるようになっていますので