日本サッカー史上“破格の輝き”、隔世の感がある2選手。トップリーグで史上最高の日本人だ【コラム】
研究されているにもかかわらず、その策を覆せる
今年11月、これまで欧州に挑戦してきた日本人選手にとって、歴史的な週末になったと言えるかもしれない。 【画像】小野伸二、セルジオ越後、大久保嘉人、中村憲剛ら28名が厳選した「 J歴代ベスト11」を一挙公開! プレミアリーグ、ブライトンの三笘薫が、ジョゼップ・グアルディオラ監督が率いる王者マンチェスター・シティを撃破する殊勲に貢献している。名手カイル・ウォーカーを引きちぎりかけた三笘のドリブルは、今シーズン、1対1では止められる気配がない。同点弾ではパスを呼び込み、アウトサイドでクロスを入れた後、すぐにこぼれに反応し、もう一回、間髪入れずにボールを供給していた。 また、ラ・リーガのレアル・ソシエダ(以下ラ・レアル)の久保建英が今シーズンは最大の攻撃猛威を振るうビッグクラブ、FCバルセロナを叩く金星の主役となっている。右サイドでスペイン代表アレハンドロ・バルデ、イニゴ・マルティネスを次々に手玉に取った。 俊敏なだけでなく、常に逆を取る聡明さで、誰も止められない。彼が脅威を与え続け、混乱を与えたことによって、チームは打ち勝っており、マッチMVPにも選出されている。 いずれも、大きなニュースになった。世界的な注目を浴びるリーグで、チームの勝ち負けが彼らのプレーにかかっている中、ビッグクラブを倒す。これほどの爽快感はない。 日本人選手がビッグクラブを倒すのに一役を買って、チームとともに欧州チャンピオンズリーグ(CL)などで勝ち進むことは今までもあった。 例えば2009-10シーズンに本田圭佑のCSKAモスクワがベスト16に勝ち進んでいる。2010-11シーズンには長友佑都のインテル・ミラノ戦がベスト8、長友との日本人対決を制した内田篤人のシャルケがベスト4に勝ち進んでいる。たしかに当時も華々しかった。 その後も、2015-16シーズン、岡崎慎司がレスター・シティでプレミアリーグ優勝を遂げたのも記念的だし、吉田麻也は当時不毛に近かったプレミアリーグのサウサンプトンで足跡を記し、長くフランクフルトで活躍した長谷部誠はブンデスリーガで日本人の道を切り拓いたレジェンドにふさわしいが...。 プレミアリーグ、ラ・リーガは世界で1、2を争うリーグで、三笘、久保はそのクラブでどちらもエースを担っている。彼らはすでに知られたアタッカーで、研究されているにもかかわらず、その策を覆せる。二人が放っている輝きは、これまでの日本サッカー史上でも破格で、隔世の感がある。それぞれ、トップリーグで史上最高の日本人選手だ。 もっとも、彼ら二人もこれまで格闘してきた欧州日本人選手たちが通ってきた道の後に立っている。それを忘れてはならない。同時に、彼らがこじ開ける新たな時代もあるはずだ。 文●小宮良之 【著者プロフィール】 こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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