性欲低下や体重増加…睡眠学者が警告を鳴らす「寝不足」で起きる5つのこと
2.心疾患のリスクが高まる
心臓病学専門誌『European Heart Journal』に掲載された約11万7000人を対象とした研究結果によると、1日の睡眠時間が6時間に満たない人は、十分寝ている人よりも心疾患の発症リスクが高い。また、米国心臓病学会誌『Journal of the American College of Cardiology』掲載の論文によると、就寝時間と起床時間が一貫しない不規則な睡眠は、なんらかの心血管イベント(脳卒中、うっ血性心不全、冠動脈疾患など)のリスクを高める。 ウィンター博士いわく、これには「おびただしい数のメカニズム」が関係している。「寝不足のときや睡眠が途切れ途切れのときは、諸々調節するために収縮する血管の能力がある程度失われます」。ウィンター博士の話では、睡眠時間が不足すると高血圧のリスクも上昇する傾向にあり、それが心臓の負担になることも考えられる。 アワド博士によれば、寝不足によってコルチゾール値が上昇し、体内の炎症が悪化すると、血管内にプラークが形成されることもある。「血管内にプラークができてくると、心臓がいつも以上に働かなければならなくなります」
3.性欲が低下する
ウィンター博士によると、これには多くの理由がある。「あなたが疲れているときは、脳が他のことよりも睡眠を優先します」。また、寝不足になると、性的なパフォーマンスと興奮に必要な化学物質(オキシトシンなど)の量が減少することもある。 『JAMA』に掲載された論文によると、研究チームが男性10名の睡眠を1週間にわたり制限したところ、テストステロンの体内レベルが15%低下した(テストステロンは性欲に火をつける男性ホルモン)。その逆もまたしかりで、同誌に掲載された別の研究結果は、いつも以上に長く寝ると翌日にセックスをする可能性が高くなることを示している。つまり、早めに寝れば、少しその気になれるかも、ということだ。
4.体重増加のリスクが高まる
これにも複数の理由がある。そのうちの1つは「疲れていると、不健康な食べものに手が出やすいからです」とウィンター博士。疲れているときは座りがちになり、あまり運動をしなくなるのも、体重が増えやすくなる理由の1つ。 睡眠学専門誌『Sleep』掲載の研究論文によると、寝不足の人の体内では、食欲と脳の報酬系に影響を与える物質の1つ、内因性カンナビノイドのレベルが変化する。この研究では、寝不足になると、内因性カンナビノイドのレベルがもっとも高くなる時間に合わせて、不健康な間食が増えることも分かった。 睡眠時間が短い女性は以前から睡眠時間が長い女性より体重が多い傾向にあるけれど、ウィンター博士いわく、それにも恐らく上記の理由が関係している。