2030年には47兆円の経済効果 「ネイチャーポジティブ」って何!?【WBSクロス】
「WBSクロス」のテーマは、「ネイチャーポジティブ」です。 自然環境を回復させて、生態系をより豊かにするという取り組みですが、2030年には47兆円の経済効果を生み出すとして注目されています。その「ネイチャーポジティブ」にいち早く取り組む企業を取材しました。 群馬県・赤城山。その中腹に広がる森の中を歩いていたのは、大手飲料メーカー「サントリーホールディングス」の社員です。倒木や藪が目立つ森ですが、これから整備していくといいます。同社では2003年から、全国の森の再生に取り組んでいて、現在、整備を進める森はおよそ1万2000ヘクタール、東京・山手線内の2倍近い広さになります。 岐阜・東白川村にある「天然水の森 ぎふ東白川」も、2010年からサントリーが整備に取り組む森です。 「間伐をしてたくさんの広葉樹が入ってきて、それに関わる昆虫や鳥、動物がたくさん来ることによって豊かな生態系が育まれる」(サントリーホールディングス サステナビリティ経営推進本部の三枝直樹さん) 間伐をしないと太陽光が差し込まず、地面に植物が育たなくなります。そこに雨が降ると表面の土が流され、土砂崩れのリスクも高まるのです。 7年前に間伐をしたエリアを見ると、木々の隙間に様々な植物が生えていました。 新たな植物が育つと森に虫たちが戻ってきます。鳥なども姿を現し、小川にはサワガニの姿もありました。 森を整備し再生させることで、生物の多様性を回復させる「ネイチャーポジティブ」の取り組みです。生き物が増えることで、土の中の微生物も増え、良質な土に変化するといいます。 「土が降った雨を受け止めてくれて、地下に染み込ませてくれる。土が良くなって、われわれにとってみれば水を育んでもらえる山になる」(サントリーホールディングスの三枝さん) サントリーは飲料水やビールなど、多くの製品に地下水を使っていますが、各地の工場の近くにある森を再生し、その生態系を回復させることで、新たに天然の水を生み出す環境を整備。本業のビジネスを持続可能なものにしているのです。 サントリーホールディングス サステナビリティ経営推進本部の橋本智裕部長は「ネイチャーポジティブに取り組まない企業は、今後生き残れない。日本から始めた取り組みだが、グローバルに広げていきたい」と話します。