2030年には47兆円の経済効果 「ネイチャーポジティブ」って何!?【WBSクロス】
“リアル「ポケモンGO」”で新ビジネス!?
2022年に開催された国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)では、「2030年までに自然の損失を食い止め、回復軌道に乗せること」が目標に定められました。 政府も「ネイチャーポジティブ」の取り組みで、2030年には新たに47兆円の経済効果が生まれるとしていて、企業が投資家などに選ばれる重要な指標になるとみられています。 そんな潮流を見据え、早くも動き出した企業があります。 京都市下京区にある「バイオーム」です。2017年創業で、社長は京都大学大学院で農学博士号を取得した藤木庄五郎さんです。 藤木さんが開発したのがスマホアプリ「バイオーム」です。 例えば社内で飼育しているカエルを撮影すると、「アズマヒキガエルが63.4%」と表示されます。AIが、撮影した生物の画像を解析し、その名前と確率を教えてくれるのです。 「『ポケモンGO』のリアル版のようなもので、生き物10万種類に対応している。ちょっとしたゲームになっている」(「バイオーム」の藤木庄五郎社長) アプリを使い、見つけた生き物の情報を地図上に記録していくことも可能です。全国各地でどのような生き物が生息しているか、毎日1万件ほどのデータが、バイオームに集まってくるといいます。 「今まで何となくやっていた環境保全や生物多様性の保全を、データで評価し、生物多様性を守るための活動に繋げていく」(「バイオーム」の藤木社長)
ネイチャーポジティブに企業もアピール
東京・大手町。高層ビルが立ち並ぶエリアに緑が生い茂る場所があります。大手デベロッパー「東京建物」が11年前から整備する大手町タワーの敷地内にある森、「大手町の森」です。 「大手町の森」にどんな植物が生息しているのか調べるために使われていたのが、バイオームが企業向けに機能を追加して開発したアプリです。 これまでにおよそ200種類の植物を確認。アプリを使い、木の幹の太さや高さなどを入力することで、年間の二酸化炭素の吸収量も算出できるのです。 「数値で見えると、環境にどれくらいの貢献ができているかが分かるので、評価の一つの軸にもなり得るものだと思っている」(「東京建物」ビルマネジメント第一部の髙橋優希さん) バイオームのアプリによって得られた生物多様性の客観的なデータが、投資家や顧客などへのアピールにも繋がるといいます。 「世界がネイチャーポジティブに変わっていくための必要不可欠なパーツになっていきたい」(「バイオーム」の藤木社長) ※ワールドビジネスサテライト