「不倫の傷のケア」すれ違い夫婦の思い込みと本音、約3000組の「関係修復」実例
コロナ禍を経て「夫婦カウンセリング」が注目されている。 株式会社リライフテクノロジーが2024年7月に既婚者2000人(20~59歳の既婚の男女)を対象に『夫婦問題に関するカウンセリングへの障壁』に関するインターネット調査を実施したところ、既婚者の約6割がパートナーに対し、ストレスや不満を感じているという結果が出た。 【写真】「夫婦カウンセリング」参加者の実例が知れる“バイブル” だが夫婦問題に関するカウンセリングを受けた経験があると答えた人はわずか5.15%。一方、メンタルヘルスケア(心の健康に対する意識)について、全体の約56%が「非常に重要」または「重要」と答えている。 メンタルヘルスの重要性を半数以上が感じつつも、カウンセリングを受けるに至らないのは、夫婦カウンセリングの専門家の情報がまだ浸透していないせいかもしれない。
最近注目の「夫婦カウンセリング」
そんな中『夫は、妻は、わかってない。夫婦リカバリーの作法』(日本ビジネスプレス)の著者で、夫婦カウンセラーとしてこれまで約3000組の夫婦をカウンセリングし、現在は1か月で約120組から相談を受けるという安東秀海氏は、 「'18年ごろから『夫婦カウンセリング』の検索数が伸びた」 と語る。きっかけは'18年にお笑いコンビ「オリエンタルラジオ」の中田敦彦が夫婦カウンセリングを受けたと発言したことや、海外映画やドラマで頻繁に登場する夫婦カウンセリングのシーンによって、関心を持つ人が増えたのでは、と安東氏は分析する。 安東氏のカウンセリングルームを訪れる層は36歳から45歳が中心で、結婚10年前後のカップルが目立つ。 その中には親が子ども夫婦の仲を心配しての申し込みもあるが、カウンセリングは本人たちからの申し込みを原則としているという。では、どのような悩みの相談が多いのだろう。 「いちばんは不仲です。漠然と、原因がはっきりしないが不仲というケースが全体の6~8割。結婚10年くらいのご夫婦に非常に多いですね。次に多いのは不倫で2割。夫婦仲の良しあしによらず、夫が不倫や浮気をしていたというパターンですが、この半年は妻が不倫をしているという相談も多くなっています。 3番目に多いのはセックスレスですが、不仲も不倫や浮気、セックスレスなど顕在化した問題だけでなく、なぜそうなってしまったかに目を向けることが大切です」(安東氏、以下同) 安東氏が夫婦カウンセラーになったきっかけは、彼の妻がカウンセリングの勉強を始めたこと。もともと、営業職で人と話すことが得意だった安東氏はカウンセリングが、 「クライアントの問題を解決するプロセスに似ている」 と感じて、カウンセリング会社に転職。さまざまなカウンセリングを行っているうちに、夫婦問題にやりがいと手ごたえを感じ、'15年に独立。東京で妻と一緒にカウンセリングオフィスを設立した。 「夫婦カウンセリングでは、問題となっていることを“コミュニケーション”“価値観”“感情”の3つの領域に分類し、どこに、より大きな問題が潜んでいるのかを探りながら、各ご夫婦それぞれのケースに応じて、最適な取り組み方を提案していきます」 では、実際に安東氏がカウンセリングをしてきた例で、夫婦が抱えていた問題を見ていこう。