なぜ石破政権は大苦戦しているのか…自民党が総裁選で絶対にやるべきだった「禊の済ませ方」
■自民総裁選は「推薦人のいらない枠」を作るべき 【西田】今回の総裁選の面子を見てもわかる通り、我々の社会では政治に限らずいろんな分野でメンバーや仕組みが固定化されてしまっていて、腐敗の原因になっているように見えますね。だけど、その流動性を上げる道筋が、なかなか見えてこないわけです。本来は野党がその役割を果たすべきなのですが、それもおぼつかない。何か政治に流動性をつくり出すようなアイデアはありますか。 【安田】これは僕からの仮説というか提案なのですが、仕組みを短期間では大きく変えられないことをまずは受け入れ、じっくり考えながら緩やかに調整していく、という手法も「あり」だと思うんですよ。総裁選の「推薦20人」のルールも、いきなりなくすのは難しいかもしれない。なので、1~2人くらい推薦人のいらない枠をつくって、立候補したい人たちで政策議論を戦わせる場を用意する。そこでオリンピックの柔道みたいにクジ引きでもいいから1対1の討論をしてもらって、自民党員のネット投票を通じて勝ち上がった議員を総裁候補にする。そんなふうに今の仕組みを徐々に変えるきっかけを、既存の制度の中に埋め込んでいけたら面白いんじゃないかな、と。 【西田】それはいいですね。自民党の議員が出てきて、国民の前で大局的な政治観を議論する、と。投票できるのは自民党員だけだとしても誰もがYouTubeなどで見られますし。 【安田】総裁選にこうした「勝ち残り」によるフリー枠をつくることは、自民党にとってもメリットがあるような気がします。総裁選にフリー枠を競う土壌があれば、自民党の若手は普段からディベート術を磨き、政策を語るための自己投資をするようになるはずです。衆院選では党首討論がありますし、他の政党との競争力を養ううえでも利点があるのではないでしょうか。 【西田】政治観や政策を以て議員の資質を競う文化を、総裁選に絡めてつくるわけですね。 【安田】ええ。その中で爪痕を残せるような有力な議員は、今回は無理でも次回以降の総裁選では推薦人の20人を集めやすくなるかもしれない。 【西田】でも、現状を維持したい勢力は、そういう枠をつくりたくないだろうなァ。 【安田】そこが難しいところですね……。