根尾vs岡林…中日の外野サバイバルが面白い?!
一方の「1番・レフト」で起用された岡林の1年先輩、根尾は4打席ノーヒットに終わった。かつて2年連続で2桁を勝った武田翔太のストレートのキレとウィニングショットの縦の大きなカーブで揺さぶられたらひとたまりもない。それでもなんとか食らいついて3回には武田の失策を誘って出塁した。6回も二保にセカンドゴロに打ち取られたが、これを周東が送球ミス。「前に飛ばせば何かが起きる」の鉄則を実践した。何より一級品のボールを経験したことは、アピールを続けている根尾にとってプラスになっただろう。 与田監督が、今キャンプでチームに求めているのは「スピード」である。昨年のチーム得点は12球団ワースト。機動力を得点力アップにつなげたいと考えている。 「チームを変えるにはメンツを変えるしかない。どこまでできるか…」 与田監督が機動力を使える選手として名前を挙げたのが岡林、3年目の滝野要、ルーキーの三好大倫、4年目の伊藤康祐、高松渡の若手の5人だった。この日、伊藤の2軍落ちが決まったが「彼らをしつこく1軍に置いて見ていきたい」と言う。 現状で開幕スタメンとして固まっているのは、2年連続で最多安打タイトルを獲得した大島一人。本来ならばレフトのポジションには、3Aで一昨年26本を放った新外国人のガーバーを想定していたが、新型コロナの影響で来日メドが立っていない。開幕は間に合わないと踏んでおかねばらない。となると外野で2つのポジションが空いていることになる。その2席を巡り平田、福留、福田らのベテランに若手が挑むという構図。与田監督からすれば、スンナリとレギュラーの名が出てこないのは頭の痛い問題ではあるが、若手にとっては絶好のチャンスだ。 岡林も「自分の立場ではギリギリのライン。1軍キャンプを完走できたので次は開幕1軍。焦ってアピールしても結果が出ない。今できること、今やっていることを試合でできるように頑張りたい」とチャンスを狙っている。 過去に中日でコーチ経験があり、昨年は阪神の2軍チーフの立場で、与田監督が期待する若手をファームのゲームで見てきた評論家の高代延博氏は、「中日にはイキのいい若手の野手がゴロゴロいる。ファームのゲームでは打たれまくった。2軍では打てる、素材もいい。ただ、1軍の投手とは質が違う。この壁をこの中から何人が突破してくるのか。与田監督の期待もそこだろう」と見ている。 そして現状をこう分析した。 「確かに現状決まっているのは大島一人。ライトも本来ならば平田で決まりだろうが、この時期にフル出場させたということは、彼も競争の中に組み込んでいるということだろう。かかと重心で、まだ自分のスイングはできていない。実績はあるが現状で当確とは言えない状況にある。岡林も根尾も肩が強いので外野の守備は1軍レベルにあるとと見ていい。普通に守れる。問題はバッティング。長打の可能性は根尾、安定感とスピードでいえば岡林だ。岡林が根尾より1年下だが、軸はしっかりとしている。ルーキーの三好、高松は足がある。ライト線に二塁打を打った滝野は一塁に入っていたが外野もできる。彼らの競争がチームの底上げにつながれば面白いし、与田監督は、そこに期待しているのだろう」