生産台数30万台、若者の心をとらえた最高のヒット作! 日産 S13 シルビア【時代を彩った名車たち】
1988年に登場した日産S13シルビアは、軽量かつスポーティなクーペとして、国内外で多くのファンを魅了した。優れた走行性能と美しいデザインは、当時の日本のスポーツカーシーンを象徴する存在となり、今もなお根強い人気を誇っている。ここで今一度、S13 シルビアが車好きに愛され続ける理由を振り返ってみよう。 PHOTO:中野幸次(Kouji Nakano) / MotorFan / NISSAN 日産シルビアは、1965年に初代が登場した日産のスポーツクーペで、長い歴史を持つ名車である。初代シルビア(CSP311型)は手作りで少量生産され、当時の日本車としては非常に高級で洗練されたデザインを持っていた。その後、1970年代に入って2代目のS10型や3代目のS110型が登場、徐々にスポーツカー的な性能と魅力を高めていく。4代目のS12型を経て、1980年代後半に登場した5代目となるS13型は、軽量ボディやターボエンジン、FRレイアウトなど、後のモデルにも継承される数々の特徴を備え、当時のスポーツカーシーンでも特に大きなインパクトを残すことになる。 その後もS14型やS15型と進化し続け、S15型が2002年に生産終了となるまで、シルビアは歴代、国内外のスポーツカー愛好者にも支持され続けたが、やはり中でもS13型は、そのデザイン性やカスタマイズ性、走行性能などの点から今なお非常に人気が高く、シルビアシリーズの中でも特別な存在、傑作車として数えられている。 さて、1988年に登場したS13シルビアは、バブル景気に支えられた時代の若者たちに高い人気を誇り、スタイリッシュなデザインと手頃な価格、スポーティでありながらもエレガントな雰囲気により、同時期に登場したホンダ プレリュードと共に“デートカー”として広く支持されたことは、この車の文化的な側面としてよく知られている。S13シルビアはまた、ホンダ プレリュードと“走り”の面でも比較されたが、シルビアはすでに希少となりつつあったFRレイアウトから生まれる走行性能の高さにより独自のポジションを確立、特にドリフトシーンでは高い評価を受けることになった。 搭載されたエンジンは、1.8LのCA18DEや2.0LのSR20DEといった直列4気筒エンジンで、これにターボチャージャー付のCA18DETやSR20DETも用意された。特にSR20DEおよびSR20DETはその後のシルビアシリーズでも広く使用され、軽量ボディとの相性も良く、素早い加速と高いコーナリング性能を実現した。 また、先述のようにFRレイアウトから生み出されるドライバーのコントロール性の高さは、プロからアマチュアまで幅広い層に支持され、ドリフトやレース用としても非常に人気が高かった。S13シルビアには3ドアハッチバックの兄弟車である180SXも用意されており、スタイリングやエンジンオプションの違いによりユーザーの好みに応じて多様多彩な選択をすることができたのも魅力のうちだ。 約30万台が生産されたシルビアの商業的な成功と多方面に与えた文化的な影響は計り知れず、スタイリッシュなデザインと高い運転性能は当時の日産のイメージ向上に大きく貢献した。また、登場から35年以上を経た今もなお、中古車市場では高い需要を誇り、スタイリッシュなデザインと運転の楽しさから、多くの愛好者に支持されている。現在では多くの個体がカスタムされているが、オリジナルの状態で保存されている車両はコレクターズアイテムとしての価値が高まり続けており、中古車市場で1000万円近くのプライスタグを付けた個体も見られるほどだ。今やS13 シルビアは、名車として不動の地位を確立していると言えるだろう。 スペック:K’s ハイキャス-II (FR) / E-KS13型 全長×全幅×全高(mm)=4470×1690×1290 ホイールベース(mm)=2475 エンジン:1.8l 水冷直列4気筒DOHC16バルブICターボ(CA18DET型) 駆動:FR 最高出力:175ps(129kW)/6400rpm 最大トルク:23.0kgm(225.6Nm)/4000rpm 使用燃料:無鉛プレミアムガソリン トランスミッション:5MT 車重(kg):1140 燃費:11.0km/L(10・15モード) 新車価格:195.7万円 ※1988年発売当時のスペック
MotorFan編集部