銀行に「1000万円」以上貯めるのは危険と聞きましたが、実際に銀行が“破綻”することなんてあるんですか? メガバンクなら大丈夫ですよね…?
「銀行に1000万円以上預けるのは危険」という話を耳にしたことがある人もいるのではないでしょうか。普段何気なく利用している銀行にも、実はあまり知られていないリスクが潜んでいるかもしれません。特に多くの資産を預けている人は、「金融機関におけるリスク分散」は資産を守るためにも重要なポイントでしょう。 本記事では金融機関におけるリスク管理とその具体的な対策について、元銀行員の筆者が詳しく解説していきます。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
ペイオフ制度と預金保険制度
万が一金融機関が破綻すると、金融機関に預けている資産はどうなるのでしょうか。「破綻する」ということは、その金融機関には「預金の払い戻し能力がない」ということです。しかし、これでは預金者の資産の保護ができません。そこで預金者の保護と金融機関の信用秩序を守るため、金融機関はあらかじめ「預金保険機構」の保険に加入しています。 この保険に加入することで、万が一金融機関が破綻した際には預金保険制度に基づき、預金保険機構が預金者に保険金を支払ってくれるのです。これを「ペイオフ」といいます。 この預金保険機構への加入は金融機関に義務付けられているもので、預金者はなにも手続きを行わなくても、この保険の保護を受けることができます。 ただし、預金保険の対象となる金融機関は日本国内に本店がある銀行、信用金庫、信用組合、 労働金庫等であり、対象になる金融機関であってもその海外支店、外国銀行の在日支店、政府系金融機関は、預金保険の対象外です。これらの機関や支店への預金は保護の対象となりません。
保護される預金は「1000万円」
預金保険制度で保護される預金は、実は無限ではありません。保護の対象となる預金は1金融機関に預けられている、普通預金、定期預金、定期積金、当座預金等の預金のうち、預金者1人当たり元本1000万円までと破綻日までの利息となっています。また、外貨預金は保護の対象外です。 仮に普通預金900万円の預金者がいた場合、保護される預金は全額の900万円とその利息です。しかし、普通預金500万円、定期預金500万円、定期積金300万円の預金者は、預金口座ごとではなく、合計1300万円の預金に対してペイオフで保護される預金は、上限の1000万円とその利息になるのです。