ここにきてバフェットが「アップル株」を「なぜか大量に売却」していたという事実が「意味するもの」
蜜月関係の終焉、それとも次なる一手?
2024年、大統領選挙を終えた米国経済はトランプ氏の返り咲きを契機に、株式市場が大きく動き始めました。ダウ平均株価は史上最高値を更新し、日経平均株価もこれに連動する形で4万円台回復をうかがっています。しかし、こうした楽観的な市場ムードに対し、「オマハの賢人」ことウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハザウェイの動きは一線を画しています。同社はアップルをはじめとする主力株の大規模な売却を進めており、バフェット氏が米国経済に対して何を読み取っているのかが注目されています。 【マンガ】iPhoneが発表された日にアップル株を「100万円」買っていたら
バフェットとアップルの蜜月関係の変化
アップルは、これまでバークシャーのポートフォリオを象徴する存在でした。バフェット氏がアップル株を「消費財のようなブランド力を持つ企業」と評して以来、同社の株式は長期保有の中心に据えられてきました。一時期、バークシャーの米国株保有額全体の半数を占めるまでになったアップル株。しかし2024年には、急速に売却が進みました。 2024年第2四半期には保有株数の49%を売却し、第3四半期にはさらに25%を手放しています。結果として、2018年のピーク時に約11億株を保有していた同社の株式は現在、3億株まで減少しました。株数ベースで見ると70%以上の削減です。この規模の売却は、単なる利益確定ではなく、バフェット氏が市場の状況に対して慎重な見方をしている可能性を示唆しています。 加えて、アップル株にとどまらず、コア銘柄として長年保有してきたバンク・オブ・アメリカや、短期間で買い増しを行ったアルタ・ビューティーなども一部売却されています。こうした動きは、バークシャー全体のポートフォリオ戦略に大きな変化が生じていることを物語っています。
バークシャーのキャッシュポジション、49兆円の意味
バークシャー・ハザウェイの売却益は現金として積み上がり、2024年9月末時点でのキャッシュポジションは3252億ドル(約49兆円)に達しています。この額はバークシャーの運用資産全体の50.6%を占めており、一般的な機関投資家のポートフォリオと比較して異例の高さです。 現金比率がこれほど高い背景には、市場の急変動に備える守りの姿勢がうかがえます。バフェット氏が過去に述べたように、「現金は企業の生存にとって酸素のようなもの」だという哲学が、ここでも徹底されています。特に、トランプ再選を背景とした株式市場の過熱感を警戒し、短期的な利益よりも長期的な安定性を重視していると見られます。