ここにきてバフェットが「アップル株」を「なぜか大量に売却」していたという事実が「意味するもの」
市場の楽観ムードとバフェットの慎重姿勢
今回の大統領選挙後、株式市場は歴史的な上昇を見せています。1900年から2020年までの31回の米大統領選挙を振り返ると、選挙後から翌年1月20日の大統領就任式にかけて株価が上昇する傾向があります。過去のデータでは、就任式までにダウ平均が1.87%上昇するのが一般的ですが、今回は11月の時点ですでに過去の平均値を大幅に上回るペースで推移しています。 しかし、この楽観ムードの裏に潜むリスクを見逃してはなりません。歴史的に見ても、急激な相場の上昇には調整局面がつきものです。バフェット氏の動きは、こうした過熱感への警鐘とも取れます。「強気相場では臆病であれ」という氏の哲学が、ここに改めて表れていると言えるでしょう。
バフェットが示唆する米国経済の現状
バークシャーのキャッシュポジションが膨れ上がる中、バフェット氏が示唆しているのは、米国経済の現状への慎重な視点です。トランプ氏の返り咲きによる減税やインフラ投資計画は、一見すると経済を押し上げる材料に見えます。しかし、同時に財政赤字の拡大や金利上昇といった長期的なリスクを伴う可能性もあります。 さらに、米国経済が抱える構造的な課題も無視できません。人口動態の変化や、AIや自動化技術による雇用の喪失など、長期的な不確実性がバフェット氏の判断に影響を与えている可能性があります。彼は8月に94歳の誕生日を迎え、生涯の投資活動の集大成を意識しつつ、将来の市場の安定を見据えているのかもしれません。
次なる一手への期待
一方で、バフェット氏が完全にリスクを回避しているわけではない点も注目されます。同氏が新たに取得した銘柄として、ドミノ・ピザやプール・コーポレーションが挙げられます。これらの企業は、消費者行動や生活様式の変化に対応したビジネスモデルを持ち、長期的な成長が期待されています。 また、AIや新エネルギー分野への投資は、バフェット氏がこれまで慎重だった領域であり、今後の動向が注目されます。特に、ドミノ・ピザのようなピザの宅配サービス会社でありながら、デジタル活用が進むテックカンパニーへ変貌している企業への投資は、従来の「実物資産重視」からの変化を示唆している可能性があります。 またマーケットの変化という意味において、米国株以外に注目するといえば、やはり新興国が人気となる時期ではないでしょうか。 次の項目では新興国投資のポイントについて解説します。