3時間前に台湾が突然、先発変更…侍ジャパンが“消化試合”で絶対に勝ちたかったワケ「明日の決勝のために」《プレミア12史上初の全勝優勝へ》
決して消化試合ではない
「でも国際試合に“消化試合”はないんです」 こう語るのは日本代表の金子誠ヘッドコーチだ。 「明日の決勝のためにこの試合もあった。今まで先発で出てきた選手たちに休養を与えながら、今日、先発した選手たちがきちっと躍動して勝つことが明日の試合につながる。決して消化試合ではないんです」 そんな金子コーチの言葉を実際に感じさせられたのは、台湾ベンチが得点を挙げるたびに見せたチームの盛り上がりだった。 試合は初回に日本が村林一輝内野手(ロッテ)の先頭打者本塁打、4番・森下翔太外野手(阪神)のタイムリー二塁打などで4点を先制。しかし3回に3番のツォン・ソンエン外野手の二塁打で1点を返した台湾が5回には早川の制球の乱れをついて2点を挙げ、1点差に迫った三塁側ベンチは一気にボルテージが上がった。その後も台湾が得点を挙げると、日本が突き放すという激しい展開が続いたが、最後は日本がしっかり突き放して貫禄勝ち。決勝進出を全勝で決めた。
台湾はいま、かなり強くなっている
翌日の決勝戦をにらめば、相手を勢いづかせないことも大事な要素だ。表面上は“消化試合”だったこの試合だが、絶対に台湾に勝たせてはいけない、勢いづかせてはいけない試合だったのである。 「台湾はいま日本の野球を勉強していて、かなり強くなってきている」 金子コーチは決勝戦に向けてこう警戒心を語る。 同コーチが語るように、以前はメジャー的なパワー野球が主流だった台湾の野球。しかし現在は多くのプロ野球チームが日本からコーチを呼び、日本式の緻密な野球を学んで急激な成長を見せている。実は井端監督も2022年に台湾プロ野球所属のTSGホークスに客員コーチとして招かれ、約2週間にわたって指導したこともあった。 そうした日本野球への傾倒と共に、選手個々の力もかなり上がってきていると金子コーチは指摘する。 「今までは上半身の強い選手が多かったんですけど、このチームは3番のソンエン選手だったり、4番を打つ(ジリジラオ・)ゴングァン選手とか足の強い選手、いわゆる身体能力の高い選手が多くなってきている。そういう選手を揃えてきているから、守備のレベルも上がっている」
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