3時間前に台湾が突然、先発変更…侍ジャパンが“消化試合”で絶対に勝ちたかったワケ「明日の決勝のために」《プレミア12史上初の全勝優勝へ》
侮れない相手であることは間違いない
そんな台湾を相手にする決勝戦。先発にはスライドさせた切り札・イーリンがくるのだ。 過去の台湾との戦いではバルセロナ五輪で、後に阪神入りした郭李建夫投手の好投の前に日本が準決勝で敗退。また13年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では元ニューヨーク・ヤンキースの王建民投手の前に大苦戦。9回2死から井端監督の同点タイムリーで追いつき、延長戦の末に辛勝した試合もあった。 決して侮れない相手であることだけは間違いない。だからこそ“消化試合”にも出場した選手たちがきっちり働いて、台湾につけ入る隙を与えないことが大事だったのである。 初回の村林、森下だけではない。5回の清宮幸太郎内野手(日本ハム)のタイムリー三塁打も大きかったし、6回の辰己涼介外野手(楽天)の適時二塁打も効果的だった。 無死満塁のピンチで早川を救援、見事に火消しを果たした清水達也投手(中日)、3回を投げ切った北山亘基投手(日本ハム)に最後を締めた横山陸人投手(ロッテ)……。決勝に向けて起用できる投手に制約がある中での、投手陣の働きも評価すべきだ。 そしてこの負けられない“消化試合”の勝利を受けて、いよいよ連覇のかかる決勝に日本代表・侍ジャパンは向かうことになる。 「データもある程度あるし、楽しみな戦いになる。(台湾打線は)真っ直ぐだけに張ってくるので、そこを気をつけて変化球をしっかり使っていけば抑える自信はあります。投手が抑えれば必ず勝てる」 こう語るのは決勝の先発マウンドを託された戸郷翔征投手(巨人)だった。
内容じゃない、結果だけにこだわって
試合前には東京ドームのグラウンドで行われたWBSCが主催するeスポーツ国際大会「eプレミア12」の決勝開会式にシアトル・マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターのイチローさんが登場。日本代表選手たちとも言葉を交わすシーンがあった。 「向こう30年は日本に手は出せないな、という感じで勝ちたいと思う」 2006年の第1回WBCの開幕直前会見でイチローさんが語った決意。あれから18年が経過した現在、日本はその言葉通りに国際試合27連勝と圧倒的な強さ、「手は出せない」強さを誇って、この「プレミア12」でも連覇に王手をかけている。 「明日は内容じゃないと思いますんで、結果だけにこだわってやっていこうと思います。これだけ連戦が続きますが、選手たちが非常によく頑張ってくれている。あと1試合ですけど、なんとか勝ちたいです」 前哨戦の試合後の井端監督の決意表明だ。 何が起こるかわからない。しかし国際試合で百戦錬磨のこの指揮官のもと、侍ジャパンが「優勝」の2文字に向けて突き進む。
(「プロ野球亭日乗」鷲田康 = 文)
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