【第50回衆院選】政権選択へ意識高めて(10月16日)
衆院選は政権選択選挙とされ、国の針路に関わる重要な意味を持つ。有権者は今回、新内閣発足から短期決戦での選択を求められる。熟慮の材料や時間は十分とは言い難い。各党、各候補者は政治改革、経済、外交、安全保障など現下の課題解決への具体的な政策と実現の道筋を明確に示す必要がある。 争点の政治改革で、自民党は政策活動費について、将来の廃止も念頭に透明性を確保するとした。連立を組む公明党は廃止を明言する。旧文通費の使途公開と未使用分の返納は自民党と同様、実施を掲げた上で時期に踏み込み、来年の通常国会までの法整備を目指すとしている。 政策活動費の廃止と旧文通費の公開、返納は立憲民主党をはじめ野党側が一致して求めてきた。企業・団体献金の禁止でも足並みをそろえる。 内外の有事を踏まえれば、政治とカネ問題で国会審議が滞る現状に、早期に決着をつけるべきだ。政治改革への各党の本気度と政策実行力を改めて見極めねばならない。
経済対策は、低所得者世帯への給付金支給、給付付き税額控除など物価高への独自策をそれぞれ打ち出した。財政の国債依存が強まる中、支持獲得を企図したばらまきといった指摘には、財源を含めて正面から答えるべきだ。 地方創生に再び光が当てられている。東京一極集中是正の政府目標は、たびたび先送りされ、創生法が2014(平成26)年に施行されて以降の歳月は「失われた10年」と言うほかない。財源の手当てだけで、地方への人の流れが進むわけではないのが今に至る教訓だろう。実効性のある政策と知恵を、選挙戦でぜひ論じ合ってほしい。 衆院選は1890(明治23)年に始まり、50回を迎えた。第1回選挙の当選者は、三春町生まれの河野広中ら、自由民権運動に身を投じた人々が名を連ねる。 時代は移り、選挙や政治への無関心層の広がりが嘆かれて久しい。最大与党は公認問題に揺れ、野党は共闘の足場が定まらない。既成政党は、期待や信頼が問われかねない局面にある。有権者は節目の選挙に主権者意識を高め、各党、各候補者の主張をしっかりと見定め、投票行動によって次世代への責任を果たしていかねばならない。(五十嵐稔)