北海道新幹線の函館駅乗り入れ、動き停滞 大泉市長言動控え 協議水面下に
函館市が目指す北海道新幹線函館駅乗り入れに向けた動きが最近鳴りを潜めている。市はJR北海道などと水面下で協議中のためと説明するが、関係機関には慎重論が根強く、現時点で進展はないもようだ。新幹線を巡っては2030年度末から延期となった札幌延伸の時期が最大の焦点になっており、大泉潤市長がこうした状況も踏まえ、乗り入れ関連の言動を控えている側面もある。 【動画】北海道新幹線札幌延伸工事で超大型クレーンが稼働中 室蘭のDENZAI保有 大泉市長は23日、池田達雄北斗市長や自民党の向山淳衆院議員(比例代表道ブロック)らと国土交通省を訪れ、早期の札幌延伸を要望。大泉市長は終了後、「函館駅乗り入れの話はなかった。今求めるべきは一日も早い札幌開業だ」と述べた。 昨年春の市長選で乗り入れを目玉公約に掲げた大泉市長は、就任直後の補正予算に調査費を計上し、今年3月には整備費を160億円台と試算した調査結果を公表。市議会への報告を経て関係機関との協議入りを表明するなど矢継ぎ早に手を打ってきた経緯がある。 だが最近は10月に乗り入れをテーマとした市主催のフォーラムがあったものの、関係者の話題に上る機会は減っている。 乗り入れにはJRや国、北海道に加え、新函館北斗―函館間の沿線自治体の協力が不可欠だ。市はJRや北斗市、七飯町などと職員間で協議し、課題への対応策を検討している状況だと説明。大泉市長周辺は「表立った動きがない状況がしばらく続く」と話す。 その関係機関との協議も順調ではない。函館市は9月に突如、JRに新たな費用負担を求めないと表明。実現性を疑問視するJRとの協議の前進を狙ったとみられるが、JR幹部は「乗り入れは全くばら色ではない」となお冷淡だ。 大泉市長も言動を抑え気味だ。関係者によると今月3日夜、鈴木直道知事との会食で乗り入れについて切り出さなかった。翌日も知事と道庁で面会し、札幌延伸の重要性を唱えた一方、乗り入れについては「いずれトップ間で話すタイミングがある」と伝えるにとどめたという。