令和の『吉原炎上』も起こり得るかも!? 「ナイトスポット」での火災にご用心
冬の足音が迫る中、全国各地で火災のニュースが相次いでいる。特に風俗店では、過去にも大量の死者が出る事案が起きており、リスクとして留意しておきたいところだ。 【写真】繁華街に集まる消防車 * * * ■ナイトスポットに付きまとう火災リスク 11月27日夜、東京都文京区にある自民党参院議員の猪口邦子氏(72)の自宅マンションから出火。鎮火作業は8時間を要し、6階の室内約150平方メートルが全焼。台所から2人の遺体が発見され、のちに猪口氏の夫で国際政治学者の東大名誉教授の孝さん(80)と長女(33)のものと確認された。室内に油を撒かれた形跡はなく、放火の可能性は低い。 また、札幌の歓楽街・すすきのでは同月26日、雑居ビル2階の営業中のガールズバー店内に男(41)が侵入。ガソリンをまいてライターで放火したとみられ、男や接客中の従業員女性ら4人が全身にやけどを負う大惨事となり、のちに男は死亡した。 「男は、けがをした20代の女性と以前交際して同棲していたが破局。女性の引っ越し先などに現れ、相談を受けた警察から注意を受けていた経緯があります。事件の10分前にSNSに『楽しいことするよ』と投稿しており、恋愛感情のもつれによる放火とみられます」(道警担当記者) 風俗業と火災は因縁が深い。1972年の大阪・千日デパート火災では、営業中だったアルバイトサロンの客や従業員118人が死亡し、日本のビル火災史上最大の惨事となった。2001年の歌舞伎町ビル火災でも、テナントの風俗店の客や従業員を中心に44人が命を落とした。 「風俗店は狭いスペースを最大限に活用する傾向が強く、通路に物が乱雑していたり、経営者がめまぐるしく変わるので防火管理者が不在だったり、頻繁な改装によって避難経路が機能しなくなるケースが多い。いわゆる『特殊浴場』などは条例などで建て替えが認められないことがあり、防火設備が整っていない古びた建物をしぶとく使っているケースが多い。そのうえ、カネと男女関係が絡みつくので、怨恨による放火のリスクも高くなる」(消防関係者) ■退店目前、非常ベルが... 江戸時代から続く歴史ある色街として知られる東京・吉原。かつて幾度も大火に見舞われ、その悲劇は映画「吉原炎上」などで描かれている。火災の際に、前払いの支度金の返済が残っている遊女が逃げるのを防ごうと、店主らが大門を閉ざしたことで大量の死者を出したこともあり、1923年の関東大震災では炎から逃げ延びようと100人近い遊女が近くの池に飛び込んで溺死したという記録も残る。 この地で最近、煙に巻かれたというのが、吉原に通って40年という男性Aさんだ。ビルの3階にある"浴室"でのひと時を終え、嬢に促されて帰りのシャワーを浴びようと立ち上がったところ、突然、火災報知機のベルがけたたましく鳴ったという。 「嬢が様子をうかがうためにドアを開けたら、階下から白煙がもうもうと立ち込めている様子が私の目に飛び込んできました。まさに吉原炎上といった様相で、『これ火事だよ。ヤバいよ』と2人でパニックに。煙の勢いは強く、とても階段を駆け下りようとは思えません。『一酸化炭素中毒なら即死だから苦しまないで死ねるかな』といった感じで死を覚悟しました」(Aさん) 全裸で諦念するAさんを尻目に、嬢は冷静で利発だった。あっという間にワンピースを身にまとい、Aさんに「これ履きな」とトランクスを差し出してくれた。足に力が入らず、やっとの思いでトランクスを履けたAさんにすかさず、「これで口元を覆って」と濡れタオルを用意してくれるのだった。 パンツを履き、濡れタオルで顔を覆ったAさんはようやく我に返った。「俺が先に飛び出るから、大丈夫そうだったら続いて」と見得を切り、風呂場の窓からの脱出を試みるべく窓を開けて身を乗り出してみた。外は火の手が見えなかったものの、飛び移れそうなスペースはなく、また3階から地上に飛び降りるのもためらわれる。嬢は何度もフロントに内線コールを入れるが、誰も出ない。様子の確認で再びドアを開けてみると、先ほどよりももっと煙は濃くなっていて、視界は数センチ程度だ。 ■煙の正体は吉原名物のあの...