J内定も国立に辿り着けず涙 “10番”が継ぐべき凡事徹底の系譜…川崎入りDFはJ先輩から金言【コラム】
清水で研鑽を積み海外へ…鈴木唯人のような成長が理想
ちょうど5年前の2020年1月。同じフクアリで号泣したのが、市立船橋から清水に進んだ鈴木唯人(ブレンビーIF)だ。市船のエースナンバー「10」は2回戦で日章学園に抑え込まれ、無得点で終了。その悔しさをバネに清水で1年目から頭角を現し、J1リーグ30試合出場を果たした。さらに2年目が終わった直後の22年1月には日本代表合宿にも呼ばれるまでになった。嶋本がそういう急激な成長曲線を描ければ理想的。偉大な先人の系譜を継いでいくしかない。 「プロに行って自分が試合に出ているのをみんなに見せて、『自分が頑張っているんだよ』というのを伝えられたらと思います」と本人も涙ながらに未来の成功を誓っていた。 今季の清水を見ると、生え抜きの宮本航汰を筆頭に、昨季は主にジョーカー起用された矢島慎也、昨夏に加入した宇野禅斗らがいるが、視野の広さと展開力に秀でた嶋本が割って入る余地が全くないとは言い切れない。もちろんフィジカルコンタクトや球際、強度など改善の余地はあるものの、非凡な潜在能力を引き出せれば、試合に絡むチャンスはありそうだ。 「U-19でも攻撃の部分は良さを出せることが多かったけど、守備の部分でポジションに戻るとか行くべきところは行くとか基本的な原則を突き詰めていく必要がある。もともと体力には自信がある方ですけど、その使い方も考えていかないといけない。判断力も磨いていかないといけないと思います」と12月19日のU-19日本代表対流通経済大学との練習試合後にもやるべきことを明確に見据えていた。 大津出身は谷口彰悟(シント=トロイデン)、植田直通、濃野公人(ともに鹿島アントラーズ)を見ても分かる通り、「凡事徹底」が浸透している。自分がやるべきことを愚直に突き詰める力は際立っている。そのDNAが引き継がれている嶋本が今季J1で多くの人々に驚きを与えてくれることを期待したいものである。