<飛躍!今年こそ・健大高崎2021センバツ>第3部 選手紹介/下 /群馬
◇夏から打率向上 高村尚杜外野手(2年) 昨秋の県大会では下位打線ながら2本塁打を放った長距離打者。「チームに貢献するため、本番で打つのが目標」とセンバツへの思いを語る。 入学当初は周りのレベルの高さに圧倒され、打撃に関して伸び悩んだという。 そんな状況を打破するため、1年生の冬に同級生で打撃に秀でていた小沢周平(2年)に「教えてくれ」と頼んだ。「(打撃に対する)常識が変わった。言い切れないくらい教わった」。バットを地面と平行に振るなどのアドバイスを実践し、継続した結果、昨夏ごろから打率が上がるように。今でも小沢とペアを組み打撃練習を行っている。センバツに向け、細かい打撃の調整を続ける。「一戦必勝で目の前の相手に勝ちたい」 ◇50メートル6秒の俊足 上野元希内野手(2年) 50メートルを6秒で走る俊足。「自分が出るのは守備固めや代走など。しっかり準備して臨みたい」 中学で所属していた栃木の真岡ボーイズでは、「塁に出たら自分の判断で走れ」と教わったという。健大高崎に入学後、盗塁のスタートを切ったと見せかける偽走や三盗の方法などの指導を受け、「自分の足は中学レベル。高校では通用しない」と衝撃を受けた。 内野に限らず外野の守備もこなすユーティリティープレーヤー。三塁コーチャーを務めた昨秋の関東大会で、自分が回したランナーが本塁で刺されたことを悔やんだ。「自分が迷うと信頼してもらえなくなる。冷静に、大事な場面での集中力を見せたい」との思いでセンバツに臨む。 ◇「守備職人」の控え 海老原崚内野手(2年) 青柳博文監督が「守備職人」と評する遊撃手。「準備しつつ、最大限できることをしたい」と意気込む。 2014年夏の甲子園で、「機動破壊」の名を全国にとどろかせた健大高崎に憧れ入学した。入部当初からショートのポジションにこだわり、一時期はスタメンを張った。だが昨秋の県大会前に肋骨(ろっこつ)を骨折。「『終わったな』と思った」。ずっとライバルだった吉里竜門(2年)に涙ながらにショートを託す。どこか一皮むけなかった吉里が心を入れ替え、関東大会優勝に貢献する姿を見て「少し悔しいが、あいつが出たから勝てた」と話す。 生来の負けず嫌い。甲子園の舞台では「控えだけど、人一倍声を出して盛り上げる」と誓う。 ◇ムードメーカー 園山尋斗外野手(2年) 主将の小沢周平を支える副主将で、左の技巧派でもある。「持ち前の明るさと声で日本一に貢献したい」 「みんな仲が良い」という学年だが、当初は規則を守らない部員がいるなど、チームの状況は良くなかった。そんなチームを「何とかしたい」との思いで副主将に立候補。小沢の目が届かない範囲をカバーし、指示を出している。 昨秋の県大会決勝では代打で左中間への適時三塁打を放った。打撃にムラがあることが課題で、仲間にフォームを確認してもらい、改善に努めている。 コロナ禍の自粛期間中に同級生とSNS上で始めた「熱男リレー」では先陣を切ったムードメーカー。「甲子園でも一体感を武器に勝ち上がりたい」 ◇好機に強い代打 風間力輝外野手(2年) 「チャンスに強いことが持ち味」と語る代打の切り札。「全力で声を出し、日本一に貢献したい」と力を込める。 七つ上の兄は野球部OBの一輝さん。「野球をしている姿がかっこよかった」と兄を追うように健大高崎に入学した。 神経などを圧迫される胸郭出口症候群で昨秋の県大会は途中で離脱。「周りに置いていかれる」と焦ったが、今年1月に復帰してからは仲間に救われた。打撃の自主練習は2人1組で取り組むが、けがの影響で自分は投げられなくても快く打たせてもらったという。 中学時代は父朋博さんと1日500回以上バットを振り込んだ。「センバツでもやってやろう」と、強い思いで臨む。 ◇7種類の変化球 井上聖投手(1年) サイドスローから多彩な変化球を投げ分ける1年生右腕。「ベンチ入りしない選手のためにも、チームに貢献できるように」と気を引き締める。 直球の最速は129キロだが、カーブ、ツーシームなど7種類の変化球を組み合わせ、打たせて取るタイプだ。最近は走り込みを重ね、冬期間で球速は5キロ上がった。小谷魁星コーチも「(バットを)振ってくるチームにはめっぽう強い」と評価する。 小学校時代は精神的に弱かったが、現在は「打たれても、めげずに投げ込めるようになった」と、自らの成長を語る。 センバツに向け、「いつも自分の球を受けてくれる部員の思いも背負って、全力を出したい」と意気込む。