残りの人生をどう生きたいか。“老後を意識した家作り”の基本は「好き」を大切にすること
“老後を意識した家づくり”と聞いて何が思い浮かぶだろうか。バリアフリーなど、とにかく身体や健康に良い間取りを想像する方も多いだろう。 【写真】本棚には美術書、料理の本、スピーカー。趣味が詰まった空間の作り方とは 「手すりの取りつけ(後からつけられます)や、滑りにくい床材への交換などではなく、趣味や理想のライフスタイルを長く楽しめる空間作りを目指すのがおすすめです。人生は、現時点で思っている以上に長い可能性があるからです。」 そう語るのはインテリアのコーディネートやリフォームプランナーとして多数の家作りに携わってきた行正り香さん。 行正さんの最新著書『人生を変えるリノベーション』(講談社)は、自身の家のみならず、多くの家のリノベーションや模様替えを手掛けてきた行正さんが、様々な「家を変える」やりかたをまとめた一冊だ。レイアウト、間取り、予算、手間など、様々な条件をふまえ、それぞれの家を理想に近い空間にしていった様子を、行正さんが実際に取り扱った例とともに紹介している。「家を変える」やり方がこんなにあるのかと、ヒントと学びをくれる内容だ。 本書から抜粋し、リノベーションを考えている人もそうでない人も今すぐ始められる「家の印象の変え方」をお届けしている短期集中連載。第1回目はリノベーションなしの「模様替え」で家を大きく変える方法、第2回目は照明を使った光と影の空間作りについてお伝えした。 第3回目は本書から、多数の家作りに携わってきた行正り香さんが考える“老後を意識した家づくり”について抜粋してお届けする。 行正り香/ゆきまさりか 料理家・インテリアデザイナー。デンマーク親善大使に選ばれる(2017年)など、北欧のインテリアに造詣が深く、近年はインテリアのコーディネーターやリフォームプランナーとして多数の家作りに携わる。30冊を超える料理レシピ本のほか、家作りに関する著書『行正り香のインテリア』『行正り香の家作り』もロングセラーとなっている。2023年、東京国立博物館のアンバサダーに就任。館内のレストラン・カフェの照明ディレクションサポートを務める。二人の娘と夫の4人家族。 文/行正り香