「巨大すぎるゴミ屋敷を空にしてほしい」2日間で全部片付けた結果
「片付けるときに大事なことは、あちこち触らないことです。片付けが進まない人の特徴として、たとえばリビングにある棚を片付けながら、洋室にモノを移動したついでに“ここもこんなに散らかっていた”とゴソゴソし出す人がいるんです。それでは、ただいろんなところが散らかって疲れてしまうだけです。そうではなく、リビングの棚を片付けると決めたら、まずはその棚だけを片付けるんです」 そして、1週間のゴミ出しのスケジュールを把握することも作業をスムーズにする。翌日がペットボトルの日ならペットボトルだけを片付け、翌日が不燃物の日なら不燃物だけを片付ける。今回の大規模な片付け作業においても、現場にやってくるパッカー車の種類に合わせ、鉄類だけをスタッフ全員で集中的に運び出している場面があった。
■片付けは「整理」ではない 片付けのことを「整理」と誤解している人も多い。片付けとはあくまで「断捨離」のことを指すのだという。 「整理収納関連の本が部屋に何冊もある人に限って、片付けが苦手だったりします。片付けるとは、モノを捨てることです。モノを減らさないことには部屋は片付かないんです。その、モノを捨てるということが大変なんですけどね」 そこで、家がゴミやモノであふれてしまっている人がまず初めにできることが、「ダンボールの処分」である。イーブイが片付けで訪れる現場には、ネットショッピングで届いたダンボールが必ずと言っていいほどあふれている。しかし、空になったダンボールは「いる・いらない」で迷うことなく真っ先に捨てられるゴミのひとつだ。
■思い出までは捨てない 1日目で2階の運び出しがほぼ完了。2日目は4時間ほどで1階と納屋の荷物を出し、16部屋のお屋敷は無事に空となった。「いやあ、ほんまこんなにすっからかんの綺麗になるもんなんやな」と、男性は肩の荷が下りた様子だ。男性は比較的淡々とした反応だったが、中にはパッカー車の前で涙を流す依頼者もいる。 「その家に住んでいた時間が長ければ長いほど、涙を流す気持ちはわかりますよね。家族だんらんの場だったテーブルがパッカー車に巻き込まれていくわけじゃないですか。やっぱり当時の思い出が浮かんでくるんでしょう」(二見社長)
しかし、ゴミ屋敷を片付けても思い出まで捨てるわけではない。きっと今回の依頼者は、それをわかっていたのだ。
國友 公司 :ルポライター