災害対応のスペシャリスト「特殊救助隊」発足 警視庁全体の「教導」も 警視庁150年 136/150
「もう大丈夫ですからね」 東京都立川市の「東日本災害警備訓練施設」で、警視庁災害対策課特殊救助隊(特救隊)の隊員が要救助者役の男性に声をかける。男性を担架に乗せ、はしごから垂らしたロープでつり上げて素早く救助。ほかの隊員とも声を掛け合い、流れるような連携だ。 特救隊は平成23年の東日本大震災を機に全国警察初の災害救助専門部隊として24年9月1日に発足した。隊員は重機や船舶などの免許を取得し、災害や水難、山岳遭難などさまざまな状況に対処できるよう、日夜訓練に励む。 26年の御嶽山噴火や30年の西日本豪雨、令和3年に発生した静岡県熱海市の土石流など国内の災害に加え、ネパール地震やトルコ・シリア大地震など海外の災害でも活動実績を積み重ねている。 石川県で元日に発生した能登半島地震や9月の豪雨災害にも出動。道路の破損で大型車両が通行できなくなるなど困難を抱えながらも、小型車両に乗り換えて駆け付けるなど工夫を凝らして救助に当たった。 東京で大規模災害が発生すれば、警視庁の総力を挙げた対応が必要になる。特救隊は、機動隊員や警察署員への指導も担当。全国の警察から研修生も受け入れている。警視庁全体の災害対応能力の底上げをする「教導」の役割も担っている。(橋本昌宗)