THE NORTH FACEの名作ダウン「ヌプシ ジャケット」が発揮する驚異のパフォーマンス
立ち襟もこのモデルの特徴のひとつ。
「発売当時のダウンジャケットは、羽毛が内蔵された大型のフードがついたものが主流で、こうした立ち襟は珍しいものでした。首まわりがすっきりして見えるこの襟型は、ファッション的に着こなしに取り入れやすく、スタイリングの幅を広げるというメリットを生み出します」
比較的丈の短いシルエットは、出自と関わりがあるという。 「エクスペディションシステムの開発プロダクト群の一つとして作られているので、レイヤリング前提のシルエットとして考えられています。現行の日本企画ではジップ・イン・ジップ仕様にはなっていませんが、独特の丸みを帯びたシルエットが、本来のインナーとしての使い方よりもアウターとして着用されるお客様の支持を得てきたと考えています」
「小さく畳んで内ポケットに収納できるポケッタブル仕様になっているのも特徴です。また、ひっくり返すと肩部分の裏側に2本ステッチが入っています。これは表面上見えない裏側に小さなダウン部屋を追加している証拠なんです。それによりバックパックの負荷などで、肩部分の羽毛が偏り、膨らみが少なくなってしまうのを防ぐための工夫です。目に見えないところに気を配る、ものづくりにおいて非常に大切にしている姿勢です」
日本を代表するダウンメーカーのリサイクルダウンを使用
ダウンジャケットの本分である暖かさにもぬかりはない。
「冬のアウトドアにも対応できる良質なクリーンダウンを使用しています。使用する羽毛は、国内で羽毛の精製・加工から、羽毛ふとんの製造までを行う河田フェザー社のもの。優れた洗浄技術を持つことでも知られ、羽毛の細部まで浸透する超軟水を使うほか、羽毛同士を複雑にぶつけ合わせる研ぎ洗いと呼ばれる特殊な洗浄方法を駆使します」
このモデルにも、河田フェザーが羽毛製品に使った羽毛を回収し、再び精製したグリーンダウンが使用されている。リサイクルダウンとはいえ、卓越した洗浄技術によって、羽毛に付着する垢やホコリは徹底的に取り除かれ、羽毛本来の暖かさや軽さ、柔らかさが十分に引き出されている。また、羽毛特有のニオイもほとんどない。 デビューから30年を超えた今も、その人気は衰えを知らない。