「大手外資系エリート」を名乗ってベンチャー企業をカモにするケースが急増中…その「巧妙な手口」
フリーランスや業務委託で働く人も増えた現代、優秀な人材の確保は企業の急務だ。だが人材マッチングサイト上には、輝かしいキャリアやスキルを騙って契約を結ぶもまったく働かず、解除しようとすると違約金を請求するようなケースが頻発している。いわば「ビジネスロマンス詐欺(BRS)」の「実行犯」は、特に採用のノウハウが乏しいベンチャー企業を狙い撃ちにする。前編『「自分は10億なんてすぐ稼げる」就職マッチングサイトで「外資系即戦力人材」を採用した企業の「悲惨な末路」』に続いて、なぜ企業はこのような詐欺まがいの手口に引っかかるのか解説しよう。 【写真】「ロシアのアルミ王」が建てた静岡・伊東「要塞別荘」の驚愕内容
なぜ、引っかかるのか
面接で相手の実力を見抜けないということは、全ての会社で起こりうることです。しかしBRSが見抜かれないのは、ベンチャー企業の特性を理解して潜り込むことに長けているからです。 まず、BRSは身元を大なり小なり偽ります。もちろん、良く見せるのですが、バレないように良く見せるのです。 ひとくちに「大手企業」と言っても星の数ほどあり、当然「大手外資系」も数え切れないほど存在します。ただ、日本と各国の取引量のデータを見ると、アメリカと中国で40%以上を占め、他の主要各国は7%以下です。 イギリス、ドイツ、フランスなどは実際の取引は、世の中的には少ないものの先進国ですので、「イギリスの大手企業に在籍しています」という人に会うと第一印象として「すごいなあ」という印象を持つのが普通でしょう。実際のところ、接点が少ないために、その人がそこで何をしているのか、本当に在籍しているのかなどはそもそも情報を取りに行きませんし、取りに行こうとしてもなかなかアプローチできません。 そこでBRSはしばしばアメリカ系ではない外資系企業を名乗ります。すると聞いた方は「どこかで聞いたことがある会社」「でも働いている人は身の回りにいない、聞いたことがない」という状態になりやすく、評判や在籍が本当かを確かめる方策もありません。 その会社に直接問い合わせればいいのかもしれませんが、わざわざそこまでしません。話が上手なので、会社側の担当者を「そこまでしなくてもいいか」という気分にさせます。 これが「雇用」となると社会保険や税金の手続きの過程で前職などが確認できますが、(業務委託)契約関係ですとその手続きがないので、会社側は前職や現在ほかに何をしているのかを独自には確認しにくい。 結果、在籍の確認もできなければ、仕事内容や成果についても、自己申告を信じるのみになります。その内容の辻褄を合わせることができる口八丁があれば、切り抜けられてしまうのです。