「大手外資系エリート」を名乗ってベンチャー企業をカモにするケースが急増中…その「巧妙な手口」
「スピードが命」につけこんで
BRSがターゲットにするのはベンチャー企業です。ベンチャーは新しい領域に挑戦するのが宿命ですが、新しい領域であるからこそ「経験者」がいないため、結果を出せるかどうかは、経歴や経験の事実からは確認できず、推測に頼らざるを得ないからです。このためベンチャー企業側としては業務委託者として固定費が低かったり、いつでもクビにできるという条件であれば「せっかくだから」と、協力を仰ぐことになってしまうのです。 また、ベンチャーの中でもBRSの標的は、創業メンバーがそれぞれの自己資金をかき集めて運営しているような創業間もないほどの状況ではなく、最初の資金集めに成功して、「集めたからには、早く実績を出さないといけない」と焦り気味で問題意識を持っているステージの会社が多いという事情もあるのでしょう。 資金を集める際には、具体的なビジョンと結果の像、それに向かう具体的なアクションプランを投資家に説明します。それに基づいて大金を集めるわけですから、結果を出さなければなりません。 また、結果が出るまでの間は、それに向かって順調に動いているということを示す必要があります。それを隔週や毎月の定例報告の場を設けて発信しているのが一般的です。ベンチャーはスピードが命です。なので「今回は、そうですね、動きは前回と同じです」というのはなかなか言いにくいです。そんな焦りが生み出す隙にスッと入ってくるのがBRSなのです。 さらに報酬の金額や支払い方法の設定も巧妙です。 同様の狙いで顧問派遣サービスの会社から人材を請けようとすると、もちろん会社によって差はありますが、例えば派遣会社に月25万円払っていても、本人には月5万円ほどしか渡らないので、当人にとっては「月5万円分やればいいや。時間を余らせてあと2-3社やりたいし」くらいの働きぶりしか期待できません。ところが直接業務委託できれば、派遣会社に払うよりも安く済み、やる気も高くなることが期待できる。採用する会社はそう考えてしまうのです。 慎重な会社なら稼働時間や日数に応じて払う形式や結果に応じた報酬形態を打診したりするでしょうが、その時にはBRSは頑なに固辞します。そこは「隙間時間でも活用する、極端に言えば寝る寸前まで御社からのミッションを考える。これをどう測るのか?」や「成果の測定が曖昧になってしまうから、そこに時間を費やすのはお互いに無駄だ」などうまく言って、あくまでも月額固定の報酬形態にこだわります。 ベンチャー側も管理する仕組みは揃っていないことがほとんどなので、BRSの提案をありがたく受け入れてしまうのでしょう。