「Z世代はもう古い、次はα世代だ!」…大人が若者に「ナントカ世代」とレッテルを貼りたがるのはナゼなのか
前年度に流行ったものを無理やり当てはめるだけ
1973年から2003年までは現代コミュニケーション・センターが発表していた。各年のタイプを振り返ってみよう。 1973年:「パンダ型」おとなしくて可愛いが、人になつかず世話が大変 1976年:「たいやきクン型」頭から尾まで過保護のアンコがギッシリ 1987年:「テレフォンカード型」一定方向に入れないと作動しないし、仕事が終わるとうるさい 2003年:「カメラ付ケ-タイ型」その場で瞬時に情報を取り込み発信するセンスや処理能力を持ち、機能も豊富だが、経験や知識がなかなか蓄積されない。また、中高年者にとって使いこなしきれない側面もある 昨今のタイプは、基本的には「新しいものを取り込み斬新な発想でキレ味鋭く答えを出す」的なホメるものが多いが、初期はヒドいものである。ただひたすら悪口を述べているだけだ。そして、これらの「タイプ」を見ると分かるのだが、最初から一貫して「前年度に流行ったものを無理矢理新入社員に当てはめているだけ」なのである。 しかも、「パンダ型」と煙たがられた1973年入社組が中堅どころになる1987年、「テレフォンカード型」をバカにするのである。自分がやられたことをやり返しているだけ。 もっとも、発表側も、さすがにこれは意地が悪いと思ったのかどうかはわからないが、近年は「ホメ傾向」が強まっている。が、いずれにしても、この年の新入社員だから共通のタイプがある、というのは血液型占いよりもアテにならない。少なくともあちらは4タイプ用意しているのだから。 中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう) 1973(昭和48)年東京都生まれ、佐賀県唐津市在住のネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『よくも言ってくれたよな』。最新刊は『過剰反応な人たち』(新潮新書)。 デイリー新潮編集部
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