太田雄貴「心地良く生きるためにはシンプルに」OCEANS AWARD受賞者インタビュー
「僕にとってのウェルビーイングは“自然体でいられる状態”。だから仲のいい人、気が合う人たちと一緒にいる時間はかけがえのないもの。僕がウェルビーイングでいるためには人が欠かせないし、なかでも家族は特別大きな存在です」。 今年はパリ五輪のために、家族で約1カ月パリに滞在した太田雄貴さん。親子で川の字で寝たり、娘を現地校に通わせたり、奥様も現地で仕事をしたりと、いつもと違う日常を送ることで、家族の結束はより強固になったと話す。
OCEANSが大事にしている“気持ち良さ”は、太田さんにとって、まさに今夏のパリのような日常から一歩踏み出したところにある。 「他にも今年は仲間と日本国内のいろいろな地域に行って、陶芸家や食糧危機に向き合う方など、さまざまな人と出会い、新しい世界に触れることができました。これは僕だからできること、と思われるかもしれないけど、別に近所のカフェでもなんでもいいんです。 普段行かない道に10m、100m、1kmズラすだけで景色は変わる。そうやってズラした場所で、新しい発見を得ると気持ちいいって感じるんです」。
心身ともに充実させるために睡眠が何よりも重要
「オンとオフはグラデーションで、仕事ですら楽しい」と充実した日々を送る太田さんが、オフで大切にしているのが睡眠。 過酷な練習にこなすため、睡眠を重視するアスリートは多い一方、忙しい現代人は睡眠時間を削りがちで、なかでも日本人は世界一睡眠時間が短いとも言われている。 「忙しいと言いながら、2時間ぐらいスマホを触っていたりする人も多いですよね。でも物理的に睡眠不足になると疲労も溜まるし、イライラしてくるもの。だから僕は睡眠が最優先だし、気持ちが晴れないときほど、よく寝て、実務的なことも含めて、溜め込まないようにしています」。
タスクが詰まってくると、必然的に気持ちは焦ってくるもの。そこで太田さんはChat GPTなどのITツールも活用し、作業を効率化することを心掛けているという。とはいえ、考えごとがあって眠れないという日はないのだろうか。
「これは才能かもしれないんですけど、布団に入った段階で寝てるという感じなんです(笑)。ただ、みんな体が疲れてないから眠れないんじゃないかな。 朝、強制的に運動して、日中精力的に活動をして、しっかりと疲れれば、嫌なことがあっても、眠くなるはずなので。だから運動して、栄養満点のご飯を食べて、眠いときに寝る。 この当たり前にシンプルなことが、心地良く生きていくためには大切だと思います」。 林田順子=文
OCEANS編集部