革靴職人目野健太氏に聞く、「Orphée(オルフェ)」ビスポークシューズの世界
音楽にちなんだ名前がついた6つのベースモデル
Orphéeは靴を作る際に基本となる6つのベースモデルがある。それらはどれも目野さんが音楽からインスピレーションを受けたアイテムになっている。
Free(フリー)というタッセルローファー 「『Deniece Williams(デニース・ウィリアムス)』というアーティストの"Free"という楽曲で歌詞を調べると『私はただ、自分自身でいるだけ自由に、自由に』という一節があり、さらに、ジャケットのDenieceは気持ち良さそうに両手を広げ、すべてから解放されているように見えました。 楽曲同様"Free"な革靴を作りたくて、辿り着いたのがタッセルローファーで、スリッポンで気楽に履けるデザインでありながら、タッセルの装飾により品の良さも備えた一足になっています」
SELF(セルフ)というプレーントゥ シューズ 「このモデル名はTENDRE(テンダー)という日本アーティストの楽曲"SELF"からお借りしました。とことんカタチに集中したモデルで、1人1人違う個性的な足を活かし、愛でることができるモデルになっています」
Chameleon(カメレオン)というUチップ シューズ 「『Herbie Hancock(ハービー・ハンコック)というアーティストの“Chameleon”という楽曲で、単調で陽気なリフは変わらないのに、楽器が変化する度に違う曲に聴こえるほどの変貌ぶりを、革靴でも各パーツの見え方を変化させることで、フォーマルにもカジュアルにも変貌できるかもしれないという思いから生まれました。 外羽根仕様だからカジュアル?と思いきや、あえて羽根同士をくっつけて内羽根のように作り、丸っぽいUチップにはモカ縫いではなく、あえてダブルステッチを入れて作ったモデルです」
Rhodes(ローズ)というコインローファー 「Rhodes Piano(ローズ ピアノ)の音色が大好きで、ふわぁあぁあんと広がる音色の揺らぎは唯一無二だと思いその魅力を詰め込んだのが、こちらのコインローファーです。 独特なムラ感を持つミュージアムカーフという革を使用し、音色の揺らぎを色彩で表現したものになっています。ディテールにもRhodes Pianoのフォルムや鍵盤からインスピレーションをもらった要素を入れ込んでいます」