東京ベイエリアに浮かぶ「UFOみたい」な円盤 昭和の生活を残す姿、取り壊しの予定も いつ?都の計画は
東京のベイエリアの景色に「UFOみたいな円盤」が浮かんでいることに気づいた――その正体は? 行政を取材すると、昭和期によく見られた建造物で、その生活を今に残していること、そして、今後は取り壊しの予定であることがわかりました。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎) 【写真】巨大な「円盤」の“正体” 迫力の全体像、隠れた根もとの様子
「円盤」中に入っているのは水
<有明~新木場周辺の東京のベイエリアの景色を見ていると、その中に、不思議な構造物が浮かんでいました。SNSには「UFOみたいな円盤」という書き込みも。円盤は細い柱で地面につながっていますが、その下は他の建物に隠れて見ることができません。周囲には高い建造物が少なく、その「円盤」だけがやけに目立っています。その正体は?> 東京都住宅政策本部を取材しました。「円盤」の正体は、東京のいわゆるマンモス団地の一つ、都営辰巳一丁目団地の給水塔です。 都営辰巳一丁目団地(都営辰巳団地、辰巳一丁目アパート)は、敷地面積約13万9000平方メートル。鉄筋コンクリート造の87棟3326戸があり、高層棟は2棟のみで、中層棟が地域一体に広がります。1967~69年度に建設されました。 給水塔はその中に現在2基(当初は3基)あります。1968年2月に竣工されたもので、製造元は日本鋼管株式会社(現JFEエンジニアリング)。容量は高架槽120立方メートル、受水槽300立方メートル。高さは40.2mです。 給水塔による給水方式では、一旦、高い位置にポンプで水を持ち上げて貯め、重力と高低差を利用して各住戸に水を送り届けます。 周囲が中層の建物のなか、給水塔の方が高さがあるため、その形状が目立っているといえます。 昭和期の団地の象徴的な給水方式と、そのための建造物で、上部の高架槽にはユニークな形状のものが見られ、愛好するマニアの人たちもいます。都営辰巳一丁目団地のものは、「UFOみたいな」円盤型と呼ばれる、上部が円盤状の形です。 都営辰巳一丁目団地の給水塔が円盤型なのは、同部担当者によれば、「昔のことなのではっきりとはわからないが、一般的には団地として給水の容量を決め、その容量を賄えるだけの設備を発注するため、発注先の企業の製品の仕様だと思われます」とのこと。