【中学受験2025】依然続く大学附属校人気、大阪では私立高校無償化の影響…浜学園
ますます問われる「初見の問題に取り組む力」
--首都圏から関西の上位校をチャレンジする動きについてはいかがでしょうか。
コロナ禍では首都圏からの灘中の受験者数は減りましたが、昨年度(2024年度)からは以前と同じくらいまでに戻ってきています。ただし、昨年は関西の入試解禁日が13日と例年より1週間ほど早かったこともあり、日程的に関東からも受けやすかったことも影響していると思います。今年の灘中の入試日は18、19日ですから、20日以降に千葉入試を控えている場合は連続となってしまいます。さらに2月1日を迎えるにあたっての合否の影響やインフルエンザ等感染症罹患のリスク、長距離移動の労力を、受験生とそのご家族がどうとらえるかにかかっていると考えています。
逆に、関西から関東の難関校を受けに行く流れは例年通りでしょう。昨年は、関西入試を終えてから2月1日まで2週間ありましたが、今年は埼玉受験も含めて受けやすい日程となっています。他方で、名古屋圏では関西と関東の両方の学校を視野に入れているご家庭も少なくありません。名古屋近郊の受験生がどう動くかというのは、2025年度の入試全体にも少なからず影響してくると思います。
--近年の入試問題に顕著な出題傾向について教えてください。やはり大学共通テストの変遷や思考力重視の流れは中学入試にも影響しているのでしょうか。
確かに、これまでなかったような問題がいくつか出題されるとどうしてもそこに目が向き、思考力重視の傾向が強いと感じることもあるかもしれません。首都圏などではその傾向が特に目立つと言われていますが、実際の入試問題全体で見ると、特定の「新しいタイプ」の問題ばかりが増えているわけではありません。こうした問題は生徒によって「当たり外れ」が大きくなることもあり、当日その問題形式にハマる生徒とハマらない生徒で結果が大きくわかれる可能性があるため、今すぐ思考力一辺倒になることはないと思われます。
ただし、教科書に載っていない、見たことがないような資料や統計データを用いた問題や、社会で習ったことが理科で問わるといった教科の垣根を越えた出題は増えています。知識の基盤が十分ではない段階で、未知の情報を使って考えさせることは小学生にとってかなりハードルが高いと思います。まずは基礎的な知識をしっかりと身に付けること。そのうえで、自分がもっている知識や経験を組み合わせて初見の問題に取り組む力は、今後もいっそう問われていくと思います。