【古田新太さん(58)の俳優哲学】監督の注文にはとにかく応える、俳優として「できません」なんて恥ずかしくて言えない|STORY
俳優は、注文にお応えできれば早く帰れる仕事
この「早く帰れる」というのが、古田さんにとってはとても重要なことだといいます。 「だって、早く終わって飲みに行きたいじゃないですか。というか、誰だって早く帰れるに越したことはないでしょ? オイラが“俳優って、注文にお応えできれば早く帰れる仕事なんだな”と気が付いたのは、20代後半ごろかな。だから余計なことを考えずに、台本に書かれていること、監督や演出家に求められたことを、四の五の言わずにやる。“どう表現すべきか”なんて考えたところで、お客さんは俳優が考えることよりもずっと上を行ってますから。要は“そう見えればいい”わけで、俳優は準備だけはしておいて、書かれていること、言われたことをしっかりやればいい。オイラはそう思ってます」 そんな古田さんは、劇団☆新感線に参加して、今年でちょうど40年。いのうえひでのりさんが率いる関西の小劇団を、大劇場を連日満員にする人気劇団へとのし上げた立役者は、劇団の魅力をこう語ります。 「いのうえさんが演出する劇団☆新感線の世界は、『少年ジャンプ』みたいな世界なんです。敵と味方がいる漫画みたいな世界。『いのうえ歌舞伎』(神話や史実をモチーフにしたケレン味ある時代活劇シリーズ)の台本は、座付き作家の中島かずきさんが書いているんですけど、演出するのがいのうえさんだから、“原作は武論尊だけど、作画は赤塚不二夫”みたいな感じで、結果的に少年漫画になっちゃう(笑)。今回の『バサラオ』にしても、中島さんは『太平記』みたいな話を書いたつもりなんだろうけど、いのうえさんがド派手な演出をするから、どうしたって大河ドラマにはならない。我を通そうとする奴らが裏切り裏切られるっていう、わりとシリアスな展開なのに、登場人物みんなが結構間が抜けていたりするから、悪を描きながらもどこかコミカルさがついてまわる。そこが新感線らしさかなと思いますね」
信頼する生田斗真さん&中村倫也さんとの共演
今回『バサラオ』で主演を務めるのは、劇団☆新感線へはこれが5度目の出演となる生田斗真さん。幕府と帝が相争う時代を舞台に、ヒノモトと呼ばれる島国で美貌を武器に天下取りを目論む男を演じます。その参謀となる謎めいた幕府の元密偵を演じるのは、中村倫也さんです。 「10代の頃からよく知っている、非常に信頼している2人です。斗真も倫也も、ガキの頃からエンターテイメントの世界でトレーニングを積んできただけあって、演出家に無茶な注文を出されても文句を言わないんです。できようが、できまいが、言われたことを一応1回やってみるところが素晴らしい。しかも、若い頃から上品でクレバーだった2人は、より場の空気を読むのが早くなっていて、今は全体をスムーズに進行させることまで考えられるようになっている。頼もしいし、ありがたいです。昔はこっちが、頑張れ!ってケツ叩いてたけど、今回は2人に、オイラの手を引っ張ってもらおうかな(笑)」