なぜ阪神は異例のマイナスゲーム差で首位から3位に転落したのか…カープ3連敗で浮かびあがった3つの問題点
カープキラーの“神通力”も通じなかった。秋山は、今季対広島戦5試合に投げて4勝0敗。防御率1.84で、昨季も6試合4勝0敗、防御率1.45と、2年越しにカープをカモにしてきたが、負ければ、首位陥落のプレッシャーのかかる試合の立ち上がりに“神話”は崩れた。 またミスからだった。ポンポンと2アウトをとってから、小園の一塁を襲うゴロにサンズの足が動かない。少しバウンドは変わったが、サンズはグラブだけで打球を処理しようとしてボールを後ろに弾いた。マルテ不在のための急造一塁手とはいえ、今季チーム66個目のエラーである。小園が二塁へ進むと打率を3割に乗せた鈴木誠也に、初球の外角へのカットボールをレフトスタンドに運ばれてしまった。 今季の鈴木が初球をフェアゾーンに打ったのは、全打席の7%に満たない。秋山―梅野バッテリーが、そのデータから「初球は打たない」と安易に考え、ストライクを取りにいったのかもしれないが、ここまで対秋山に打率.214と抑えられていたカープの4番打者が積極打法に切り替えてきても不思議ではなかった。 先制の19号2ランに動揺したのか、秋山は「ここからもう1回チャンスを作れるように」と打席に入った坂倉にも、2球目の137キロの外角低めのストレートをうまくバットに乗せられた。連続被弾。4試合連続でヒットが続き、打率4割近く打っている絶好調の坂倉に対して、続けてストライクを取りにいったのも不用意だった。 防げる失点を防いでいかねば勝てなくなる。100勝に王手をかけながら6度も失敗している西がいい例だろう。現在、先発ローテーで安定しているのは青柳一人。26日の横浜DeNAで好投したガンケルが光明だが、前日の谷間に抜擢したルーキーの村上は、3回5失点と炎上。二保、藤浪はファーム再調整となっていて、青柳、西、伊藤将、秋山、ガンケルに続く6枚目の先発候補がいない。 秋山は、その後、6回まで追加点を許さなかったが、打線がふるわない状況において重すぎる3点となった。投打のバランスが崩壊しているのだ。 3つ目の問題点は、その打線だ。 矢野監督は、2日連続でスタメンを入れ替えた。 前日の広島戦で今季初めて代打を送った佐藤をスタメンから外して2軍から上げたばかりの小野寺を抜擢、前々日に4番を外して打順降格ではなくベンチ要員とした大山を6番でラインナップに戻し、空白となった5番には糸原を起用した。 糸原も打撃不振で8月22日から5試合、木浪に取って代わられた。前日は、大山に代わって三塁でスタメン復帰し二塁打を含むマルチ安打を放っているが、6回二死一、二塁のチャンスにカウント2-2からワンバウンドのツーシームに誘われて三振に倒れた。粘り強さが糸原の持ち味だが、まだボールの見極めができていない。その糸原の5番起用は、無謀としか言いようがない。