サークルK親会社の セブンイレブン 買収提案は絵空事に終わるのか? 無視できない日本のコンビニ文化、オーナー一族の存在
記事のポイント カナダ拠点のサークルKの親会社がセブン&アイ・ホールディングスの買収を提案。実現すれば、コンビニ業界の巨大勢力となる。 買収が成立すればサークルKは市場での価格決定力を強化する可能性がある。 専門家は買収が実現しない可能性が高いと予測。日本の企業社会や規制当局、セブン&アイのオーナー一族も提案に反対する見込みが強い。
コンビニ業界勢力図はどう変わる?
セブン&アイの提案を確認した同日、クシュタールはスーパーマーケット・オペレーターのジャイアント・イーグルから270のガソリンスタンドを有するGetGom(ゲットゴー)チェーンを買収すると発表した。同社は昨年、トータルエナジーズSEからヨーロッパで2000店舗以上を買収した。同社は以前、ガソリンスタンドを併設したコンビニエンスストア、スピードウェイ(Speedway)の買収を試みたが、オハイオ州を拠点とする同チェーンを210億ドル(約3億600万円)で買収したセブン&アイに敗れた。 セブン&アイの買収が実現すれば、同社は米国市場のほぼ5分の1を支配することになる。4月の最終決算発表時点で、アリマンタシォン・クシュタールは1万445店舗を運営している。フランチャイズ店やその他の契約を含めると、同社はおよそ1万7000店舗を運営していることになる。一方、セブン&アイ・ホールディングスは、米国とカナダの1万3000店舗以上を含め、全世界で約8万6000店の運営、フランチャイズ、ライセンス供与を行っている。 AP通信に提供されたグローバルデータ(GlobalData)の調査によると、米国ではセブンイレブンがコンビニエンスストアの14.5%を支配しているのに対し、クシュタールはわずか4.6%であった。 燃料業界コンサルタントのブランドン・ローレンス氏は、この買収がサークルKに大きな価格決定力を与えるというが、それが必ずしも消費者がガソリンスタンドで支払う金額が増えることを意味するわけではないとしている。同氏は、新会社がその規模を活かして市場の他社を価格で下回り、店舗への来客数を増やすと予想している。さらに膨大な量の価格データにアクセスできるようになるとも述べている。 「今後、燃料は激しい争奪戦になるだろう」とローレンス氏は述べる。「もし燃料価格を高度な方法で設定していなければ、彼らに出し抜かれてしまうだろう」。