「水素社会」実現のカギはアンモニア技術が握る?
「水素社会」とは「アンモニア社会」
アンモニア研究によって、水素社会のエネルギー源を「作る、運ぶ、貯める、使う」技術が現実的になってきました。水素社会というよりも「アンモニア社会」ですね。
2017年末には経済産業省において「水素基本戦略」が決定されました。その中でアンモニアは水素の「担い手」として2020年ごろまでの利用開始が明記されています。 しかしここで、下のような疑問を持たれた方もいるかもしれません。「アンモニアを作るのに必要な水素ガスはどうやって作るの?」 現在、水素は石油や天然ガスなどの化石燃料から作られますが、同時に、二酸化炭素も排出されます。この問題を解決すべく、水から水素を得る方法もさまざまに研究されています。2018年以降の課題は、あらゆる技術を組み合わせつつ、水素やアンモニアをクリーンに作る方法の開発でしょう。 水素基本戦略の節目であり、東京オリンピックの年でもある2020年まであと2年。この2018年で「アンモニア社会」はどこまで発展するか注目です。
◎日本科学未来館 科学コミュニケーター 鈴木毅(すずき・つよし) 1987年静岡県生まれ。千葉県育ち。専門は有機化学。高校で金属の性質に興味を持ち、大学では物質の光に対する性質を研究。今は鉱物標本集めが趣味。2016年10月より現職