【京都で食べたいかき氷】地元民が必ず注文する、ちょっと珍しいメニューとは?
京都生まれ、京都育ちの食いしん坊、京都でおいしいものに出合いたければ、この人に聞けばハズレなし!そんなアマジュンこと天野準子の絶品満腹口福アドレス。今回はかき氷を紹介。 【写真】京都で食べたいかき氷
二寧坂「かさぎ屋」
蒸し暑いことで知られる京都の夏。今年も7月に入ると、毎日が蒸し風呂状態で、湿気と暑さで息苦しい・・・とまで思うことも。そこで、7月は、キーンと冷たいかき氷を紹介。最近は、エスプーマがのっていたり、デコレーション盛り盛りなかき氷も増えているが、今回はスルスルと喉を通る素朴系3選。 「かさぎ屋」は、大正3年から二寧坂で店を構える甘味処だ。清水寺に向かう参道、二寧坂は、長く続いていた老舗がどんどんなくなり、その代わりに観光向けの店が増え、街が様変わりしている。さらに、以前にも増して外国人ツーリストや日本人観光客で賑わっているため、地元・京都人のなかには行くのを極力避けているという人も多い。そして私もその一人なのだが、それでも「かさぎ屋」は、人混みをかき分け行きたい店であり、特にかき氷の時期はなおのことだ。
かき氷の中で必ず注文するのが、「しるこセーキ」だ。通常のかき氷と違い、こしあんとかき氷があらかじめ合わさったもので、今で言う、こしあんフラペチーノ。取っ手付きのグラスで出され、スプーンですくって食べると、シャリシャリとろとろ、こしあんとクラッシュアイスの一体感が楽しめる。さらに、時間が経って氷がちょっと溶けた後の甘さが薄まった感じもあっさりおいしい。 「しるこセーキ」は、昭和初期、ミルクセーキが大流行した際に、初代が甘味処らしくこしあんを使って考案したもので、以来、4代にわたり受け継がれている。そのほかのかき氷も、初代の頃より変わらず、蜜は白蜜と抹茶蜜の2種類のみ。白蜜は、今だに昔ながらのかまどで炊かれ、抹茶蜜は注文を受けてから抹茶を点て、白蜜に合わせて作られる。
ところで、関東と関西ではぜんざいやしるこの呼び方が違うことはご存じだろうか。関東は汁気のあるなし、関西は粒あんとこしあんの違いでぜんざいとおしるこに区別されていて、私も20年ほど前、こちらの店でそのことを教えてもらった。京都のぜんざいは、関東では、田舎汁粉と呼ばれ、さらに「かさぎ屋」で一番大好きな「亀山」は、関東ではぜんざいと言われていることに、衝撃を受けたことを覚えている。 亀山には丹波大納言あずきが使われていて、運ばれてきた茶碗の蓋を開けると、湯気が立ち上り、目で見てわかるほど、粒餡がふっくらツヤツヤだ。丹波大納言あずきは、粒が大きく、それでいて皮が薄く、煮崩れにくいのが特徴で、口に含むと、ふわふわながら、やわやわすぎず、口当たりも抜群。甘さと共に、小豆の味がしっかり感じられる。余計なトッピングはなく、粒餡のみながら、食べ飽きず、無心で食べてしまう。